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Resistive Anti-Reflection Touch Panels 抵抗膜式低反射タッチパネル

低反射タッチパネルは、屋外用途での視認性を向上するために開発されたタッチパネルです。
太陽光下でのコントラスト低下を防ぎ、表示の見辛さを解消します。屋外で使用するデジカメ、ビデオカメラ、パーソナルナビゲーションデバイス(Personai Navigation Device)などには反射対策が必要です。

方式と構造

低反射タッチパネルの検出原理は4-wire・8-wireタッチパネルと同じですが、材料の構成が異なり、低反射化を目的にLCDの材料である偏光板と組み合わせてタッチパネルを設計します(図2・3)。
偏光板と組み合わせる場合は、2軸延伸のPETフィルムを使用することができないため光等方性フィルムを用います。グンゼでは、各種フィルムに薄膜を形成するスパッタ機を所有しているため、この光等方性フィルムにITO膜を形成することができ、他社に先駆けて低反射タイプのタッチパネルを提案し、ご評価をいただいております。

方式と構造についてのイメージ図

見やすさ

LCDの見やすさは、表示特性、視覚特性、照明環境などが複合して決められます。タッチパネルに関しては、LCDの表示特性をできるだけ損なわないことが望まれていますが、抵抗膜式タッチパネルは空気と接する界面が多いために光反射が大きく、LCDのコントラスト比がかなり低下してしまいます。
フィルム-ガラスタッチパネルの断面を見ますと(図4)、各界面での光(視感)反射率R1〜R5を加算したトータルの反射率は、約20%になります。R5はLCD表面での光反射率で、タッチパネルが搭載されたLCDのコントラスト比CRを、特に反射型LCDの場合を例として以下のように表現します。

Rwhite、Rblackはそれぞれ反射型LCDに置ける白黒時の反射率です。元々の反射型LCDのコントラスト比は、タッチパネルが搭載された場合に低下してしまいます。そこで、光反射の低減とコントラスト比を向上するための技術が必要になります。

円偏光の原理についてのイメージ図

(図1)円偏光タイプタッチパネルの構成における偏光作用

グンゼの強み! 低コストのガラスレス(フィルム-フィルム)構成の偏光板が設計可能です

(1)AR(Anti-Reflection:反射防止)膜による方法

光反射は屈折率の異なる複数の透明材料を積層することにより低減されます。この積層膜はAR膜と呼ばれ、その作用は膜境界面における反射光の振幅をコヒーレントに足し合わせた結果、光反射を低減するものになります。つまり、光の位相をずらすことで反射光の山と谷を干渉させて反射を低減します。
最近では、全ての表面に反射防止膜を設けることで、トータルの反射率を10%程度まで低減したフィルム-ガラスタッチパネルもありますが、コストが非常に高くなります。

注意

コヒーレント(coherent)とは、光の波の位相が合う状態を指します。光の波と波が重なり合う現象を干渉といい、同じ波長を持つ波同士は干渉によって強め合ったり、打ち消し合ったりします。互いに干渉することができる光の性質、つまり光の干渉の度合いを表す用語として用いられます。

光アイソレーター(optical isolator)とは、光回路素子のひとつで、入射と射出の一対の端子を持ち、入射側から射出側に進む順方向の光は低損失で、射出から入射側に戻る逆方向の光は高損失の特性を持たせて、光を決められた方向にのみ通過させる光受動部品です。

(2)偏光の利用

AR膜では光の振幅と位相を制御しますが、もう一つの光反射低減手段として、偏光の利用があります。偏光を利用して反射光を除去する光学部品として、光アイソレーターがあり、円偏光板は、一種の光アイソレーターになります。最表面に設置することでタッチパネル内部からの反射光を低減することができ、さらにタッチパネルと液晶セルを一体化して両面を偏光板で挟んだタイプ(インナータイプと呼ぶ)の開発も進み、最近ではその有効性を発揮しています。
一般的に、偏光板で挟まれた領域ではガラスなどの複屈折性が無い(光学等方的な)材料や、複屈折率の制御可能な材料を用いる必要があり、一般のタッチパネルに使用されているPETなど汎用の延伸フィルムを用いることができません。しかしグンゼでは、それを可能にしたことが大きな特徴になっており、既に世界に先駆けて低反射パネルを提供しています。

直線偏光タイプ断面図のイメージ

(図2)直線偏光タイプ断面図

円偏光タイプ断面図のイメージ

(図3)円偏光タイプ断面図

直線偏光タイプ

偏光板には光を通す方向性があります。自然光が偏光板を通過するときに、透過軸に合った方向の光の振動は通しますが、透過軸に垂直な方向の光の振動は吸収されて通過できないため、一定方向のみに振動する光が得られます。この光を直線偏光といいます。
低反射タッチパネルのひとつは、この直線偏光を応用しています。偏光板を通過した光の反射は、通常の反射と比較して半分以下まで低減されます。そこで、タッチパネルの最表面に偏光板を置くことで、反射率をフィルム-ガラスタッチパネルの約半分に低減することができます(図5)。
この低反射タッチパネルをLCDと組み合わせた場合、この構成はLCDの上偏光板が余分になります。透過率の観点からはLCDの上偏光板を取ることが望ましい構成です。しかしながら、偏光板を取ると言ったLCDの改造は難しいため、一般的には1枚余分な構成で、LCDをそのまま組み合わせて使用します。偏光板が1枚余分なことでタッチパネルとLCDとを組み合わせた場合のLCD輝度は約7%下がると言われていますが、最近は輝度の高いバックライトが登場し、このLCD輝度の低下を補っています。

輝度透過率

偏光板は一定方向の光のみを通過させるため、その透過率は50%です。そのため、たとえタッチパネルの透過率が80%であっても偏光板を貼り合わせることで透過率は40%になってしまいます。しかし、LCDに表示される光も偏光板を追加した直線偏光であるため、LCDの上偏光板とタッチパネル上の偏光板との軸角度を合わせることで、LCDから出た光は綺麗に低反射タッチパネルを通過していきます。つまり、軸角度がぴったり合うことでLCDから出た光のロスはなく、タッチパネルの透過率80%のみが影響します。この偏光板の透過率50%を考慮しないタッチパネルのみの透過率を輝度透過率と呼びます。

フィルム−ガラス(スタンダード)のイメージ

フィルム−ガラス直線偏光とフィルム−フィルム直線偏光のイメージ

フィルム−ガラス円偏光とフィルム−フィルム円偏光のイメージ

円偏光タイプ

偏光板は自然光を直線偏光に変える素子で、その偏光板をλ/4位相差板と接着層を介して貼り合わされ構成されたものを円偏光板と呼びます。
偏光板の位相とλ/4位相差版の位相との2つの波を足し合わせると、その光の振動は螺旋状になり、この螺旋を光の進行方向から見ると円になるので、この様な状態を円偏光と呼びます(図1)。円偏光板は光を直線偏光から円偏光へ変換する特性を持ち、この特性を応用した低反射タッチパネルが円偏光タッチパネルです。
入射した円偏光(左または右回り)は反射が起きると逆回りの円偏光となって反射されるため、その反射光は偏光板によって吸収され透過することができません。
タッチパネル最表面に、この円偏光板(偏光板+λ/4位相差板)を貼り付けることで、タッチパネル内部からの反射光を除去することが出来ます。
なお、LCDからの出射光は直線偏光のため、円偏光板の透過条件を満たすようにタッチパネル裏面にもう一枚λ/4位相差板を貼り付けて円偏光に変換しています。
円偏光板と一体化したタッチパネルは、透過型、半透過型といったLCDの種類を問わず組み合わすことができます(図7)。

AR処理

タッチパネルの表面反射を抑える方法として、AR(Anti - Reflrection:反射防止)処理があります。AR処理とは、光の波特性を利用して位相を1/2λ(λ=波長)ずらすことにより、反射光の波の山部と谷部を干渉させて反射を防止する処理です。AR膜は最表面の反射と裏面の反射がちょうど1/2λずれるようにその膜厚が設定されています。しかし、1層のみのAR膜では可視光(400〜800nm)の内、狭い範囲でしかその効果が期待できません。数層のAR膜を形成することで広範囲な波長にわたって反射を防止します。
ちなみにAR処理は表面反射が赤紫色に見え、一般的には眼鏡のレンズやカメラレンズに施されています。
低反射タッチパネルにおいても偏光板の上にAR処理されたフィルムを貼ることで透過率を向上させ、さらに最表面の反射を防ぐため、無反射タッチパネルの設計が可能です。
AR処理はコスト面で課題が残っていますが、表面反射においてその効果が大きく、野外の直接日光が当たる環境下で使用する製品には、低反射タッチパネル以外のタイプでも低反射化の手段のひとつとしてご選択いただけます。

F-G構成とF-F構成

開発当初、低反射タッチパネルはF-G(Film - Glass)が一般的でした。このF-G構成の場合、LCDとの貼り合わせは周囲を額縁状の両面テープで固定します。そのため、どうしてもタッチパネルのガラス裏面とLCD表面の間に生じる空気層によって反射が発生し、反射率をロスしてしまいます。
その後、その空気層をなくすことを目的に、LCDに低反射タッチパネルを直接貼り合わせるF-F(Film - Film)構成のタッチパネルが登場しました。LCDとの直貼りは、ゴミなどの異物混入や気泡抜きなどの対策が必要ですが、外光反射4%まで低減することができ、高コントラストの表示が得られます(図6・8)。

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