繊維辞典によれば、「細長い物質で幅が肉眼では測れないほど細く、固体で不揮発性で水や普通の溶剤に対して不溶性、又は、難溶液性で、熱に対する安定性があり、熱の不導体で化合物としての安定性があり、相当程度の強さと伸びがあり、適当な弾性や可塑性があるものを総称していう。」と定義されている。
糸とは、繊維が長く線状に連続したもの。
繊維の断面は、円形でないため、直径で太さを表せない。そのため、「長さ」と「質量」の関係でその太さを表し、その表示方法は、長さを基準とした「恒長式表示法」と重さを基準とした「恒重式表示法」の二種類がある。
分野、用途に応じ、dtex、D、NeC、Nm、が使い分けられているのが実態です。
縫糸のJISの改正(94.1.1)により、工業用ミシン糸の太さの表示方法としては、「デシテックス」又は、「呼び」による表示が義務つけられたので、これらについて細部説明する。
「恒長式表示法」で単位は、デシテックス(dtex)で表す。
糸長、dtex、糸の質量の間には、次の関係が成り立つ。
(計算例)
(1)糸の質量(コーン等の質量を除く)が130g、表示繊度255dtexのミシン糸の糸長は?
(2)表示繊度300dtex、表示糸長5,000mのミシン糸の正味質量は?
「呼び」は、フィラメント糸、紡績糸の各々について、使用できる呼びと総繊度の範囲が規定されている。フィラメント糸と紡績糸では、同じ「呼び」でも総繊度が異なるので特に注意が必要である。
(計算例)※この計算例は短繊維の場合
(1)原糸番手60Sの三子撚りのスパン糸のDtexは?
(2)原糸番手60Sの二子撚りのスパン糸の「呼び」は?
(3)原糸番手20Sの4本合糸のスパン糸の「呼び」は?
引張強力・伸度とは、ミシン糸に一定方向への荷重を加え、切断させるのに要する力を「強力」といい、その時の伸びの状態を「伸度」という。
例えば、強力、伸度については、厚い縫製生地を縫うのに、必要以上に高い強力のミシン糸を用いると、縫製時に生地の破損を起こす場合がある。
伸度については、高過ぎる場合には、シームパッカリング、目飛びの原因となり、低過ぎる場合には、糸切れの原因となりやすい。又、着用時においては、適度の伸度がないと糸切れを引き起こすことがある。
強力、伸度ともミシン糸の素材、加工方法、番手等により決まるものであり、縫製条件、縫製品の用途等を考慮し、適当なミシン糸を選択する必要がある。
通常単に強力、伸度という場合には、「引張強力、引張伸度」をさすが、その他として「引掛強力、結節伸度」もある。
撚りを入れる目的は、糸に収束性を与えることと、撚りによる糸の交絡により強力を
上げることにある。
単糸段階で入れる撚りを「下撚り」と呼び、合糸後に入れる撚りを「上撚り」と呼ぶ。
(紡績糸の場合は、紡績撚りが下撚りとなる。)
下撚り数と上撚り数のバランスが適当でない場合には、糸の安定性が崩れ、スナーリング(キンク)を起こし易い。
糸とは、繊維が長く線状に連続したもの。
○フィラメント
長繊維のことであり、連続したエンドレスの糸で、表面に毛羽はなく平滑である。
フィラメントには、「 モノフィラメント 」と「 マルチフィラメント 」がある。
“モノフィラメント”とは
一本だけで用いられるフィラメント糸のことであり、釣り糸状の糸である。
“マルチフィラメント”とは
マルチフィラメントは、フィラメントを何十本も収束させて一本の糸としたもので、モノフィラメントに比べ、
しなやかさを有し、多用途に用いられる。
長繊維のことであり、連続したエンドレスの糸で、表面に毛羽はなく平滑である。
フィラメントには、「 モノフィラメント 」と「 マルチフィラメント 」がある。
“モノフィラメント”とは
一本だけで用いられるフィラメント糸のことであり、釣り糸状の糸である。
“マルチフィラメント”とは
マルチフィラメントは、フィラメントを何十本も収束させて一本の糸としたもので、モノフィラメントに比べ、
しなやかさを有し、多用途に用いられる。
○スパン(紡績糸)
短繊維を平行状態となる様に引き揃え、撚りを加えて滑脱を防ぎ、一本の糸にしたものである。
毛羽を有し、綿糸に近い外観と風合の糸である。
短繊維を平行状態となる様に引き揃え、撚りを加えて滑脱を防ぎ、一本の糸にしたものである。
毛羽を有し、綿糸に近い外観と風合の糸である。
○ウーリー加工
「かさ高加工糸」とも呼ばれ、伸びがあり、やわらかい手触りの伸縮性を付与したウーリー加工糸である。
「かさ高加工糸」とも呼ばれ、伸びがあり、やわらかい手触りの伸縮性を付与したウーリー加工糸である。
○複合素材
繊維素材が持つ本来の特性以上のものを出すために複合化を行う事が多い。
混紡、混撚、コアー、コンジュゲート他が実用化されているが、ミシン糸用として、一般的に行われているのは、混紡、コアーである。
繊維素材が持つ本来の特性以上のものを出すために複合化を行う事が多い。
混紡、混撚、コアー、コンジュゲート他が実用化されているが、ミシン糸用として、一般的に行われているのは、混紡、コアーである。
繊維の断面は、円形でないため、直径で太さを表せない。そのため、「長さ」と「質量」の関係でその太さを表し、その表示方法は、長さを基準とした「恒長式表示法」と重さを基準とした「恒重式表示法」の二種類がある。
恒長式 | |||
区分 | 呼称 | 標準長 | 質量 |
dtex | デシテックス | 10,000m | 1g |
D | デニール | 9,000m | 1g |
恒重式 | |||
区分 | 呼称 | 標準長 | 質量 |
NeC (コットン) |
綿番手 | 454g(11b) | 768m(840Yd) |
Nm (メトリック) |
メートル番手 | 1,000g | 1,000m |
縫糸のJISの改正(94.1.1)により、工業用ミシン糸の太さの表示方法としては、「デシテックス」又は、「呼び」による表示が義務つけられたので、これらについて細部説明する。
「恒長式表示法」で単位は、デシテックス(dtex)で表す。
糸長、dtex、糸の質量の間には、次の関係が成り立つ。
(計算例)
(1)糸の質量(コーン等の質量を除く)が130g、表示繊度255dtexのミシン糸の糸長は?
(2)表示繊度300dtex、表示糸長5,000mのミシン糸の正味質量は?
「呼び」は、フィラメント糸、紡績糸の各々について、使用できる呼びと総繊度の範囲が規定されている。フィラメント糸と紡績糸では、同じ「呼び」でも総繊度が異なるので特に注意が必要である。
呼び | ポリエステルフィラメント糸 | ポリエステル紡績糸(スパン糸) |
||||
原糸繊度 | 合糸数 | 総繊度 | 原糸繊度 | 合糸数 | 総繊度 | |
#0 | 280 dtex | 4х3 | 3,360 dtex | - | - | - |
#1 | 280 dtex | 3х3 | 2,520 dtex | - | - | - |
#5 | 280 dtex | 2х3 | 1,680 dtex | - | - | - |
#8 | 330 dtex | 1х3 | 990 dtex | 20 S | 4 | 1,181 dtex |
#20 | 235 dtex | 1х3 | 705 dtex | 20 S | 3 | 886 dtex |
#30 | 167 dtex | 2х3 | 501 dtex | 30 S | 3 | 591 dtex |
#40 | 110 dtex | 1х3 | 330 dtex | 40 S | 3 | 443 dtex |
#50 | 78 dtex | 1х3 | 234 dtex | 50 S | 3 | 354 dtex |
#60 | 56 dtex | 1х3 | 168 dtex | 60 S | 3 | 295 dtex |
#80 | - | - | - | 80 S | 3 | 221 dtex |
#90 | - | - | - | 60 S | 2 | 197 dtex |
dtex | 'd | Nm | NeC | Tichet | |
dtex (デシテックス) |
'd/dtex | 10000/Nm | 5905/NeC | 30000/Ticket | |
d (デニール) |
dtex х0.9 | 9,000/Nm | 5315/NeC | 27000/Ticket | |
Nm (メートル番手) |
10000/dtex | 9000/d | 1,693×NeC | Ticket/3 | |
NeC (英式綿番手) |
5905/dtex | 5315/d | Nm/1,693 | Ticket/5.08 | |
Ticket (チケット) |
30000/dtex | 27000/d | 3×Nm | 5.08×NeC |
(1)原糸番手60Sの三子撚りのスパン糸のDtexは?
(2)原糸番手60Sの二子撚りのスパン糸の「呼び」は?
(3)原糸番手20Sの4本合糸のスパン糸の「呼び」は?
引張強力・伸度とは、ミシン糸に一定方向への荷重を加え、切断させるのに要する力を「強力」といい、その時の伸びの状態を「伸度」という。
例えば、強力、伸度については、厚い縫製生地を縫うのに、必要以上に高い強力のミシン糸を用いると、縫製時に生地の破損を起こす場合がある。
伸度については、高過ぎる場合には、シームパッカリング、目飛びの原因となり、低過ぎる場合には、糸切れの原因となりやすい。又、着用時においては、適度の伸度がないと糸切れを引き起こすことがある。
強力、伸度ともミシン糸の素材、加工方法、番手等により決まるものであり、縫製条件、縫製品の用途等を考慮し、適当なミシン糸を選択する必要がある。
通常単に強力、伸度という場合には、「引張強力、引張伸度」をさすが、その他として「引掛強力、結節伸度」もある。
撚りを入れる目的は、糸に収束性を与えることと、撚りによる糸の交絡により強力を
上げることにある。
単糸段階で入れる撚りを「下撚り」と呼び、合糸後に入れる撚りを「上撚り」と呼ぶ。
(紡績糸の場合は、紡績撚りが下撚りとなる。)
下撚り数と上撚り数のバランスが適当でない場合には、糸の安定性が崩れ、スナーリング(キンク)を起こし易い。