2023年10月31日

大ヒット商品「AIRZ」の開発秘話
~腰ゴムをなくした画期的なボクサーパンツ

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1998年にデビューした「BODY WILD(ボディワイルド)」。当時、一部の海外ブランドでしか販売されていなかったボクサーパンツにカッコよさと心地よさをプラスし、日本で一気に広がる先駆けとなりました。
その後も、「新しいスタイルのアンダーウェアを創り出す」ことを使命にチャレンジを続け、遂に20年後の2018年、満を持して「AIRZ(エアーズ)」を発売しました。
今やグンゼを代表する商品となった「AIRZ」。その商品企画を担当した武安さんに開発秘話を聞きました。

「AIRZ」の特徴を教えてください

「AIRZ」の最大の特徴は、あって当たり前だったウエストゴムをなくした!ということに尽きます。ウエストゴムのある一般的な商品と比べ、腰周りの着用圧を約4割も抑えています。そして、裾も切りっぱなしのため、締め付けや違和感もありません。まさに「解放感が、ハンパない」ストレスフリーを実現したパンツと言えると思います。

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ウエストゴムをなくすという発想はどこから?

「AIRZ」の構想がスタートしたのは、2018年の発売から遡ること6年前の2012年頃です。
その頃、アウターは、ゆったりとしたシルエットがトレンドになっていて、女性用のショーツも切りっぱなし素材を採用した縫い目やゴムがない下着が主流になるなど、世の中全体が「ストレスフリー」や「ラクさ」を求め始めていました。
こうした変化を感じて、「腰ゴムのないボクサーパンツがあれば」と考え始めました。
実際に男性を対象としたボクサーパンツの着用感調査でも「腰回りの締めつけ感が不満だ」という意見が多かったこともチャレンジの後押しになりました。

パンツも時代とともに変化するということでしょうか?

そうですね。男性のパンツの歴史を振り返ってみると、日本人の下着は長らくふんどしや申又というスタイルが主流でした。ただ、1950年代に入ると、アメリカから「ブリ―フ」が、さらに、1980年代に入ると「トランクス」、そして1990年代の「ボクサーパンツ」と、10〜20年のサイクルで次々と新スタイルが日本に入ってきました。しかし、このボクサーパンツを最後に、なかなか新しい商品が出てこない冬の時代を迎えることとなります。そういった状況もあり、ボクサーパンツに続く新しいパンツを作りたいという思いも強くなりました。

発売までに6年かかったというのは、何が難しかったのでしょうか?

女性のショーツでは、ウエストゴムがなく、裾周りも切りっぱなしになったショーツがすでに一般化していましたが、男性のパンツで同じものを作る場合には大きなハードルが立ちはだかりました。それはなぜかというと、男性の場合、腰のくびれが少なく、ウエストゴムがないと重力や動作によって、パンツ自体が自然とズリ落ちてしまうからです。仮に、ウエストゴムをなくして、腰周りの生地のパワーを強くしてギュッと押さえつけるようにすると肝心のストレスフリーが実現できなくなってしまう・・・。開発当初から矛盾にぶち当たってしまいましたね。

解決の糸口となったのは?

絶妙なフィット感を生み出す素材選びと商品設計です。
最初に出来上がった試作品は、「仕事中など歩いている時にパンツがズリ落ちたら困るな」と思い、寝る前に穿いてみたのですが、案の定、朝起きた時には、ズリ落ちていたという最悪の状態からスタートしました。ただ、この失敗は素材選びの重要性を改めて認識させてくれる貴重な体験となりました。以来、「ズリ落ちにくさ」を実現するための素材を何種類も編み上げて、作っては穿く、作っては穿く、を何度も繰り返すこととなりました。そして遂に、切りっぱなしでもほつれにくく、横によく伸びて戻る「AIRZ」に最適な「カットオフ®」素材を発見しました。さらに、身体にほどよくフィットさせるための設計「アルゴウェーブカット®」も開発。この2つを組みわせることで、生地全体で身体をホールドしてウエストゴムがなくても「ズリ落ちにくい」絶妙なフィット感を実現しました。ただ、そこに行きつくまでには、ミリ単位の調整を重ね、50回以上の試着を重ねました。

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今までにないパンツということもあって、より慎重になったということですね

そうです。「AIRZ」はこれまでにない商品だったので、「本当にズリ落ちないのか?」という心配を払拭する必要がありました。それは、社員だけでなく、商品を販売いただく得意先さま、さらにはお客さまに対しても同じです。そのため、社内外あわせ300名の試着試験を実施しました。これは過去にない大規模なものでした。こうしたきめ細かな検証と共感作りによって、発売前から「これはいい!イチ押しで提案していこう!」というポジティブな雰囲気が社内外に生まれたと感じています。

発売後の反響は?

各種メディアで取り上げられ、SNSでも話題となるなど、ECサイトでは一時欠品になるほどの大きな反響がありました。ウエストゴムがないという目新しさもありますが、「パンツを全てAIRZに買い替えた」といったお声も寄せられるなど、着用感の良さも多くのお客さまに伝わり、想像以上の大成功を収めました。

武安さんにとっての「AIRZ」とは?

ボクサーパンツの登場以降、お客さまに驚きを与えるような新商品がなかなか出せていない中で、「腰ゴムをなくしてストレスフリーなはき心地を実現する」という大きな課題を仲間と設定したことは、劇的な変化を生み出す大きな原動力になったと思います。さらにそれは「AIRZ」を世に送り出すプロセスを通じ、技術を結集した商品開発、安心して着用できる品質の作り込み、お客さまに商品をしっかりお届けする営業力、商品の良さを伝えるプロモーションなど「AIRZ」に携わるみんなの原動力にもなっていったと思います。
部門を越え全社一体となって取り組める商品は強いなと、改めて実感させてくれた「AIRZ」。これからも、ネクスト「AIRZ」を思い描いて、更なる新商品の企画開発に挑みたいと思っています。

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BODYWILD AIRZ を製造する宮津工場の動画はこちら

URL: https://www.gunze.co.jp/vrf_tour/movie.html

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