グンゼは、50年以上にわたり、緑化事業を通じて、花と緑があふれる「ここちよい」空間を提供し続けています。母の日用のお花や室内で楽しむ観葉植物などを手掛ける石橋さんにお話しを聞きました。
肌着のグンゼがなぜ緑化事業なのですか?
そのルーツは、グンゼの誕生まで遡ります。グンゼは1896年に現在の京都府綾部市で製糸会社としてスタートしました。製糸会社とは、蚕(かいこ)が蛹(さなぎ)になるときに口から吐く糸でできた繭から絹の糸をつくる会社です。糸の原料となる繭は、地域の養蚕(ようさん)農家さんから買います。蚕は主に桑の葉を食べて育つのですが、よりよい品質の糸を作るために桑の木の研究を行い、養蚕農家さんとともに桑の木を育て、ともに歩んできました。そして、この養蚕用の桑の栽培技術や土壌研究などの経験や技術が、地元だけではなく全国の農家さんとのつながりを生み、現在の緑化事業につながっています。
今はどのようなことをしているのですか?
現在、緑化事業としては、樹木の販売、鉢花などの花卉(かき)販売を主に行っています。
「樹木販売」は、言ってみれば植物の商社のような役割を担っています。造園業者さんからいただくさまざまなご注文に対し、生産状況を熟知したグンゼの営業スタッフが、全国の生産者さんとのネットワークを活かし、出荷から納品までを行っています。品質はもちろんですが、輸送時のケアなどきめ細かくチェックし、お届けしています。実は、大阪の街のシンボルである御堂筋のイチョウ並木にもグンゼが供給したイチョウが使われているんですよ!もしかするとお近くのオフィスや駅前にある街路樹もグンゼが手がけているかもしれませんね。
花卉(かき)販売というのは?
樹木は、主に街路樹や公園など公共の場所の緑化材料として販売しているので、自分たちで需要を生み出すのが難しいどちらかというと待ちのビジネスです。そこで、提案型のビジネスをしたいという思いから、個人向けの花卉販売を始めました。
今は、母の日などのギフト用の鉢植えのお花などを店頭、WEBサイト、カタログなどを通じて販売しています。他にも、法人向けの贈答用胡蝶蘭も取り扱っています。鉢花以外にも、ミニ観葉植物、プリザーブドフラワー、アートフラワーなども取り揃えて、お客さまのニーズやライフスタイルの変化に合わせた商品企画や営業活動をしています。
生きている植物を扱う難しさはありますか?
私たちは、全国各地の生産者さんが育てた植物を、量販店さんなどを通じてお客さまにお届けしています。言ってみれば、生産者さんとお客さまをつなぐ橋渡し役で、今どのような植物のニーズがあるかを生産者さんに伝えることも大切な仕事です。
どんなニーズがあるかは、いろいろな売り場を見たり、取引先のバイヤーさんと話をするなどアンテナを張りめぐらせて情報をキャッチするようにしています。ミニ観葉植物などの取り扱いを始めたのも、住環境が変化していく中で、これからは植物をお庭に植えて楽しむというよりも、室内で楽しむインドアグリーンのニーズが高まると予想したからです。
ただ、私たちが「こんな大きさがいい!」「こんな色合いがいい!」と思っても、育てていただくのは生産者さんなので、生産者さんのところには頻繁に足を運び、コミュニケーションを密にとるようにしています。というのも、実際に現場に行かないと今どんな植物が育てられているのか、どんな植物を育ててもらえそうかわかりません。それに、生産者さんと直接話をしなければその想いを知ることが難しいからです。こうしたコミュニケーションを重ねることで、お客さまに喜んでいただける商品が生み出せると思っています。バイヤーさんからの信頼にもつながるので、商品を店頭に置いてもらいやすくなるというよい循環も生まれます。ニーズということで言えば、自分自身の経験から企画した商品もあるんですよ。
経験から生まれた商品とは?
私は、植物を扱う仕事をしていますが、出張が多いこともあり、植物を枯らしてしまうことがよくあるんです。そうなるとやはりショックで・・・。自分と同じような思いをされているお客さまもいらっしゃるのでは?と思ったことをきっかけに発売したのがインテリアプランツの「みずてまりんⓇ」という商品です。
「みずてまりんⓇ」は、オリジナルの給水型ポットにガジュマルやパキラなどさまざまな観葉植物をセットした商品です。貯水部分が透明なので、水やりのタイミングが一目瞭然で、初心者の方も気軽にグリーンを楽しめます。それに、倒しても水がこぼれにくいので、小さなお子さんがおられる方、動物と一緒に暮らしておられる方も安心です。店頭での管理もしやすいとお店の方にも喜ばれています。カラーは「バニラ」「チョコ」「キャラメル」「ミント」などインテリアになじみやすいカラーを揃えました。カラー名もスイーツをイメージして付けるなど想いの詰まった商品です。
グリーンをテーマにしたイベントで「みずてまりんⓇ」を販売したのですが、お客さまから「水やりのタイミングがわかりやすい」「かわいい」「水がこぼれにくそうなので、安心できる」などのうれしいお声をいただきました。
自分の手がけた商品の感想をお客さまから直接聞けたことはモチベーションにもつながりますし、新たな商品のヒントにもなります。
今後どんなことをしていきたいですか?
みなさんに、手軽にグリーンを楽しんでもらえるようにしたいですね。
たくさんの方に私たちの商品を知っていただきたくてオンラインストアでの販売をスタートしました!グンゼの直営店でも、「みずてまりんⓇ」をディスプレイで使ってもらっていますが、今後はイベントやポップアップでの紹介も積極的にしていきたいですね。それに、盆栽やあじさいなど、おうちの中で気軽に楽しむことが難しい植物にもトライしたいです。
そして、これからも、お花やグリーンを通じて、「ここちよい」空間作りのお手伝いをしていきたいです。