研究開発方針
コア技術の進化と融合による新たな価値創造への挑戦「私たちは、創業以来さまざまな加工技術を中心とした研究開発により、お客さまにさまざまな商品を提供してきました。アパレル商品では綿をはじめとする繊維に、加工技術および安定的な品質で生産する生産技術とを融合することで、その時代に合った商品を提供してきました。プラスチック加工においても、お客さまの求める機能を達成するために、多層化や複合化により食品包装における安全・安心をお届けすることに貢献し、さらにメディカル材料では患者さまの負担を減らす生体吸収性製品を開発するなど、人の役に立ち、寄り添う製品を提供してきました。また、ビジネスシーンでは、文書類の印刷においてモノクロからカラー化へ大きく変化する際のキーパーツとなる製品群や、先端半導体分野などで欠かせない機能材なども提供しています。これらの製品群はグンゼのコア技術である「繊維加工技術」「樹脂加工技術」「表面加工技術」を磨き上げてきたことで生まれており、今後もこの三つのコア技術を進化させ、時には他の技術も組み合わせながら研究開発活動を進めていきます。グンゼグループでは、年に2回の研究委員会を通じ、研究テーマの進捗報告を踏まえた審議が行われます。この場では中期経営計画「VISION 2030 stage1」で掲げている「新たな価値の創出」「企業体質の進化」「環境に配慮した経営」の観点から、即実行性の見込めるテーマや中長期スパンで育成すべき研究テーマについて話し合われます。
新たな価値の創出中期経営計画「VISION 2030 stage1」においても、新たな価値をお客さまにお届けするために、さまざまな研究開発活動を展開しています。機能ソリューションで培った「異種積層技術」「分散混合技術」などをさらに進化させた、導電性を持たせたフィルムの開発によるエネルギー分野での適応の検討や、特殊な機能を持つフィルムを開発し、農業分野などへの導入を目指しています。
また、お客さまのQOL向上を目指し、これまでに肌刺激を抑えた商品である「ウエルネス&ヘルスカテゴリー」(メディキュア)を開発してきました。現在、さらに医療・介護現場の意見を深くお聞きし、手術後の痛みなど、特定の悩みを軽減できる「健康衣療」の開発を継続して進めています。今後、自治体や医療機関、他企業などと連携し、必要とされる方々にQOLを向上できる健康衣療商品をお届けできるよう、取り組んでいきます。そのほか、既存事業の深化を支える研究開発活動も続けています。
企業体質の強化「VISION 2030 stage1」の基本方針である「企業体質の進化」の取り組みとして、デジタル技術の積極活用によるプロセス変革を進めるため、現状の業務プロセスに対してDXによる技術革新を加速させていきます。
生産プロセスに対しては、センシング技術、画像認識技術などを活用した独自の生産技術開発の強化に取り込むことで、生産工程および検査工程への自動化・無人化・省力化の実践により、工場をスマート工場に変革し「生産性向上」と「生産現場の働き方改革」の両立と競争力強化につなげています。販売プロセスに対しては、ビックデータやAI などを活用した顧客・市場分析による「売上拡大」および「需要予測に基づいたSCM計画精度の向上とロス削減」への取り組みを実践中です。「VISION 2030 stage1」で目指す、EC・SPAを中心としたビジネスモデルへの変革に対応したアパレル事業共通のSCMプラットフォームを構築しています。また、間接業務プロセスにおいては、現状では人の作業によるアナログ業務が多く、人的リソースが割かれている状況です。そこで対象プロセスの棚卸を行い、従来の業務プロセス自体を見直し、シンプル化した状態において「RPA」などの自動化ツールを活用し、業務省力化を実践しています。
「VISION 2030 stage1」における主力事業の技術戦略
プラスチックフィルム
グンゼのプラスチックフィルム分野は他社にない特性を出すために、異種材料を積層したフィルムなどを供給しています。一方で、積層フィルムをリサイクルをする際には分離する必要があるため、分離技術の開発や、リサイクル原料の品質管理などの技術開発を行っています。
メディカル
これまでメディカル事業では、生体吸収性材料に特化した医療機器の開発を進めてきました。これが事業の大きな強みであり、コアテクノロジーとなっています。今後も、この強みを生かした開発を最優先で進めていきます。さらに、生体吸収性材料のノウハウを生かしたバイオマテリアル、医療電子機器(デバイス)の開発にも挑戦し、コアテクノロジーを拡大していきたいと思っています。
アパレル
企業体質強化として掲げているデジタル技術を利用したオートメーションファクトリーを、国内外で展開していきます。また、高付加価値技術による市場優位性を確保し、技術立社としての新商品開発を行っています。さらに、SCMプラットフォームシステム構築による販売・生産・供給をシームレスにつなぐことで機動的なプロセス革新を行います。