2019年にグンゼが発売した「Tシャツ専用インナー」のin.T。多くの方に愛用され、定番ラインナップに加え極軽や超速乾モデル、ロンT向けの8.5分袖タイプなどシリーズ化もされました。
この記事では、Tシャツに関わるメンズの悩みを解消するin.Tの魅力をわかりやすく解説。また、開発者にインタビューを実施し、そのこだわりにも迫っていきます。記事の最後には、in.Tの取扱店もまとめました。
「Tシャツ専用インナー」in.Tで、
Tシャツをよりカッコよく着こなし、長持ちさせる

まずは、in.Tがどんなインナーなのかを知りたい方に向けて、4つの“スゴいところ”を紹介します。
【in.Tのスゴさ①:清潔感】汗ジミ、張り付き、ニオイの軽減
特に汗をかきやすい脇の前側に汗取りパッドを配置することで、脇汗をしっかりとキャッチ。「脇の汗ジミが気になる」という方の悩みを解決します。特に汗ジミが目立ちやすいグレーのTシャツも安心です。
また、汗取りパッドも含め、汗に配慮した素材を使用しているため、夏場にたくさん汗をかいても張り付きにくいのも嬉しい点です。抗菌防臭加工によって、汗のニオイの元となる生地上の細菌の増殖も抑えてくれます(一部商品を除く)。
【in.Tのスゴさ②:おしゃれ】Tシャツからはみ出しにくい
首回りと袖回りをTシャツからはみ出しにくい形状にしているため、「首元からインナーがチラ見して、ダサく見えてしまう」ことがないのが魅力です。スリーブレスタイプと短袖タイプがあるので、上に着るTシャツの形状に合わせて選ぶことができます。
【in.Tのスゴさ③:エチケット】白Tシャツの「透け」がなくなる
特にビジネスシーンでは、白Tシャツから肌が透けるのを防ぐエチケット対策はマストと言えるでしょう。in.Tを着ることで「乳首透け」がなくなるだけではなく、ベージュをセレクトすればin.T自体の透けも最小限になります。さらに、襟・袖・裾に縫い目がない「CUT OFF®素材」でラインがひびきにくく、おしゃれな着こなしを演出します。
【in.Tのスゴさ④:Tシャツのケア】お気に入りのTシャツが長持ち
素肌にTシャツを着ると、どうしても皮脂や汗でTシャツが汚れてしまいます。しかし、in.Tを下に着ることで汚れをブロックし、Tシャツを長持ちさせます。in.Tには、着るだけでTシャツの「ケア」にもなるというメリットもあるのです。
こだわったのは「Tシャツ専用にふさわしい」形状と素材

in.Tの開発で追求されたのは「Tシャツ専用らしさ」でした。そのコンセプトに対して特に大きく関わってくるのが、形状と素材です。
Tシャツの下にインナーを着る人のニーズに合った形状
ビジネスカジュアルでの使用も増えたことで、プライベートでも仕事でもファッションのメインアイテムとなることが多いTシャツ。だからこそ、「よりカッコよく着こなしたい」「ダサい見え方は避けたい」と願う方も多いのではないでしょうか?
in.Tは、先に紹介したようにTシャツからはみ出しにくい形状なので、まるでインナーを着ていないかのような見栄えを実現します。「Tシャツ専用」と呼ぶにふさわしいネックラインにとことんこだわって作られているのです。
汗をよく吸収し、すぐに乾く素材を使用
ポリエステル、綿、レーヨン、ポリウレタンを絶妙に配合した素材をin.Tのためだけに開発し、汗対策に特化した生地に仕立てています。
Tシャツを着用する際に、汗によるトラブルはどうしてもつきまとってしまうもの。そのトラブルを緩和し、より良いきごこちを実現することにもこだわっています。
「Tシャツ専用」というコンセプトを貫くために諦めなかった秘話
2019年の発売開始以来、若年層を中心に多くのユーザーが愛用しているin.Tですが、その開発までには様々な困難と、壁を突破した商品企画部のドラマがありました。ここからは、商品企画部の武安さん・寺島さんにインタビューし、その開発秘話に迫ります。

武安さん:商品企画部 メンズインナーウエアグループ グループ長

寺島さん:商品企画部 メンズインナーウエアグループ
世の中の変化から潜在ニーズを捉えた

「Tシャツ専用インナー」という、用途や利用シーンを極端に絞り込んだin.Tが生まれた背景には、男性ファッションの変化や、そこに紐づくアンダーウェアに対する潜在ニーズを捉えたことにありました。武安さんはこう語ります。
「メンズアンダーウェア市場は非常に成熟した市場で、何かに特化することで“新たな市場”を生み出す必要があると常々考えていました。それと同時に、40~50代がメインターゲットのグンゼにとって、20~30代の若年層向けのアプローチを思案していたところで、着目したのが『Tシャツ』でした」

ここ数年、ビジネスシーンにおいても、Tシャツ+ジャケットといったカジュアルなスタイルが浸透してきたことや、昨今のTシャツブームの中、「Tシャツの下にインナーを着たいけど、ちょうどいいインナーがない」という男性の不満を感じ取ったことから、「だったら、Tシャツの下に着るための専用インナーがあれば、ヒットするのでは?」というアイディアが生まれたのです。
【コラム:「購買調査」で変化を捉える】
グンゼでは、時代の変化やトレンドを捉える目的で、半年に1回「購買調査」を実施しています。「どんな理由で、どんなアンダーウェアを買っているのか?」「何を重視して選んでいるのか?」といった質問への回答を約7,000人から収集し、データを時系列で比較するなどして、ユーザー目線の商品開発に活かしているのです。
「ほんまに、Tシャツの下に着るの?」

しかし、ここで壁が立ちはだかります。それは、社内の“若年層ではない人たち”からの反対意見。普段、Tシャツの下にインナーを着る習慣がない50~60代から「本当にTシャツの下にインナーを着る人はいるのか?」という疑問が相次いだのです。

そこで、Tシャツの下にインナーを着る人がどれくらいいるのか、改めてアンケートを実施しました。結果、20~30代の約半数は「インナーを着る」ということが分かり、さらに若手社員からの「Tシャツ専用というコンセプトのインナーがあったら今すぐほしい」という後押しの声もあって、3度目の企画会議で社内からの正式GOが出たのです。


武安さん「データとその背景を一緒に提示することで納得してもらえると考えました。アンケートを行った結果、若年層はインナーを着ていることがわかった。そしてその背景には、ビジネスカジュアルの浸透をはじめとした時代の変化があると説明することで、Tシャツの下にインナーを着ない層にも同意を得られたのです」
“Tシャツ専用らしさ”を妥協なく追求し開発

社内の承認を得た後、いよいよin.Tの開発が始まります。与えられた期間は半年間。ここにも、より良い商品を作るための様々なドラマがありました。
アンダーウェアの開発工程は、素材選びから生地の開発、設計など多岐に渡ります。特に今回のin.Tでは、「Tシャツ専用」を謳うためにどんな要素がいるのか?ーー具体的には、ネックラインをはじめとした形状、汗取りパッドの位置、カラー選定など、考えなければならない課題は山積みだったと言います。
寺島さん「例えばカラー選定ひとつを取っても、肌の色に一番なじむものを見つけるために30色以上試しました。1色1色、上にTシャツを着た際に透けないかなど細かな試験を繰り返し、とことんこだわって作り込みました」

カラー以外にも、糸、生地、設計パターンと複数の要素がからみ合うため、組合せは無限大です。その中から、「最もTシャツ専用に適した正解」を選ぶと考えると、気の遠くなる作業であることは想像に難くありません。

しかし、商品開発にあたったメンバーは、正解にたどり着くという意志を決して曲げることはなかったといいます。
寺島さん「全てにこだわりましたが、やはり一番はネックラインですね。例えばV字のラインだと、襟元の汗は吸えませんし、襟の脇からもインナーがチラ見えしてしまう。だから、ネックラインをTシャツに適したものにしないと、“Tシャツ専用”とは呼べなかったのです」
さらに寺島さんはこう続けます。
「一言でTシャツといっても、色んな形状があります。どうすればオールラウンドに対応したインナーになるか、とにかくTシャツをたくさん買って合わせながら開発を進めました」
累計販売数90万枚という記録的な売上

「男性のインナーで色がベージュのものって、『おじいちゃんが着る肌着』みたいなイメージがある方も多いと思うので、正直受け入れられるかは不安だった」という心配は杞憂に終わり、発売初年度は計画比3倍の勢いで売上が推移しました。
結果として、2019年の発売から2年で18万枚、そして2024年2月時点ではシリーズ累計90万枚を売り上げる大ヒット商品に。ユーザーの声もポジティブなものが多く、20~30代から「こんな商品を待ってました」、40代以上の方から「Tシャツの下にインナーを着るようになりました」といった声も届いています。

寺島さん「発売から5年経ちますが、今もお客様の声を大切にして商品開発を続けています。例えば『フィット感にもバリエーションが欲しい』といったご意見もあるので、今後は、そのような課題を解決することでさらにブラッシュアップしていきつつ、より多くの方にご満足いただける商品にしていきたいと考えています」
【コラム:15年越しの成功】
in.Tにも採用されている「CUT OFF®」は、グンゼ独自開発の製法による切りっぱなしの素材。この素材をメンズインナーで初めて採用したのが、2004年にグンゼがリリースしたメンズアンダーウェアブランド「SEEK(シーク)」でしたが、当時はその価値があまり受け入れられませんでした。SEEKの誕生から15年、“切りっぱなしによってきごこちがよく、すっきりとした着こなしができるTシャツ専用インナー”として誕生したin.Tの大ヒットは、歴史を積み重ねてきたグンゼだからこそ実現できたことと言えます。
愚直に、真っすぐに商品開発に向き合ってきたからこそ生まれたin.T

「なぜ、in.Tは大ヒットしたのか?」と改めて質問を投げかけると、武安さんはこう回答しました。
「アンダーウェアのような日用品は特に、何か良い商品を作ったとしても、競合に真似をされてしまうのが常です。でも、素材へのこだわりやきごこちの良さは負けないと思う。だからこそ、多くの方に受け入れられているのかな、と思いますよ」
インタビューの終わり際、「グンゼが磨いてきた技術をもって、愚直に、真っすぐにいいものを作る。それだけです」とはにかみながら、でも誇らしげに語る武安さんの姿が印象的でした。
in.Tの取扱店
最後に、in.Tをどこで購入できるかをまとめました。この記事を読んで「in.Tを着てみたい」と思っていただけたら、ぜひお試しください。