2025年8月29日

人にも地球にもやさしいオフィスを目指して
~サステナブルな働く環境作り[前編]~

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写真左から、イシダ(総務課)、オオツカ(総務課)、マキノ(設備課)

グンゼは、「持続可能な事業基盤づくりを進め、グローバルに選ばれ続ける会社となる」ことを目指して、さまざまな取り組みを進めています。その中でも、特に成長への期待が高まっているのがエンプラ事業部。
今回は、そのエンプラ事業部・江南工場に新たに誕生した事務所棟をテーマに、プロジェクトの背景や、そこに込められた想いに迫ります。
持続可能性、ZEB認証への挑戦、そして“グンゼらしさ”を形にするための舞台裏とは──。


「課題解決」を超えて、未来の土台を築くプロジェクトに

―― はじめに新事務所棟の建設に至った背景と目的について教えてください。

マキノ まず大きな背景として、事業の拡大と取り扱い品種の多様化に対応するため、生産スペースの確保・拡張が急務だったことがあります。そのため、これまで事務所や会議室として使用していたスペースを生産エリアとして活用できるよう、工場全体のレイアウト変更が必要でした。
次に、旧事務所棟の耐震性の問題です。昭和34年に建てられた建物で、現在の基準を満たすためにも、従業員の安全確保のためにも早期の建て替えが必要でした。
また、工場内の各棟に分散していた経営管理課や生産管理センター、技術開発センターといったスタッフ部門を一つに集約することで、コミュニケーションの円滑化や意思決定の迅速化を図る狙いもありました。以前は、工場全体が東西に分かれていて、移動のたびに靴を履き替えて外を回る必要がありましたし、会議ひとつを取っても不便でした。予約して数日後にやっと実施されるなんてこともよくあったので。
加えて、食堂の老朽化も課題の一つでした。床の張り替えや下水配管の取り替えといった施設面の対応が求められていたため、このタイミングでリニューアルしたいと思いました。
こうした複数の課題をまとめて解決するために、事務所・会議室・食堂などを一つの建物に集約する新しい事務所棟の建設計画がスタートしました。
そしてもう一つ大切な目的が、グンゼの「VISION2030」に掲げられている「環境に配慮した経営」の実践です。どうせ建て替えるなら、それが実現できる建物にしたいと、エンプラ事業部全体で議論を重ねながら進めていきました。
もちろんそれだけでなく、お客さまのここちよさや、従業員の働き甲斐や働きやすさに繋がる建物にしたい、という想いも反映するプロジェクトでもありました。

―― 建設プロジェクトはどのような体制で進められたのですか?

マキノ 計画の骨子となる予算化や建設会社の調査・選定を私たちマネジメント層が担当し、具体的に内装やレイアウトを検討する段階で、総務部門やスタッフ部門といった、実際にそこで働き、利用する人たちの意見を聞きながら進めていきました。
例えば、当初は、各執務室や会議室は透明なガラス張りにする計画をしていましたが、「外から中が見えないほうがいい」という意見を受けて、すりガラスに変更しました。また、食堂では、「一人でゆっくり食事したい」といった声からカウンター席を設置しました。
予算や建築上の制約がある中でも、実際に働く人が利用しやすく、働きやすい場所にするため、いろんな意見を聞き、少しずつ軌道修正しながら進めました。

オオツカ 特に食堂は皆さんの意見が反映されましたね。床や椅子のクッション部分などがすごくかわいくて気に入っています。カラフルだけど穏やかな色合いですし、照明も暖色で、すごく落ち着きます。

イシダ 木目調のインテリアもリラックスできますし、壁への埋め込み式になっている従業員用の下駄箱もスタイリッシュで、配色もオシャレですよね。

“グンゼらしい建物”とは何かを問い続けた先に

―― 最初にお話しいただいた背景や目的を踏まえながら、新事務所棟をどのような建物にしたいと考えたのでしょうか?

マキノ 事務所棟の建て替えなんてなかなかない機会なので、「サステナブル」と「ESG投資」というテーマで、何ができるのかを追求したいと考えました。
環境に配慮した建物の一般的な指標としては「CASBEE※1」というものがあります。グンゼではCASBEEの「B+」以上を目指す方針がありましたが、今回はそれ以上のことができないかと考えました。
そこで知ったのが「ZEB※2」という考え方です。エネルギーの収支をゼロにできるなんて夢のような話だと思いました。ただ、調べていくうちに、技術的に不可能ではないが、当時は大手建設会社でもZEBの実績が少なく、一緒に取り組むパートナー選びとコスト面で、実現のハードルが非常に高いことが分かってきました。
そこで私たちは、地域に貢献したいとの想いもあったことから、ご一緒できそうな地元の建設会社を選定し、「一緒にZEBを勉強しながらやっていきませんか」と声をかけて、お互いに学びながら取り組むことにしました。
また、誰もが働きやすい環境にすることも重要なポイントでした。年齢や性別、障がいの有無に関係なく誰もが使いやすいトイレや、バリアフリーに配慮したエレベーターを設置しましたが、これらを設置することは、佐口社長の強い思いでもありました。

年齢や性別、障がいの有無に関係なく誰もが使いやすいトイレ バリアフリーに配慮したエレベーター
トイレ エレベーター

さらに、工場の顔となるような事務所棟にしたいという想いもありましたね。旧事務所棟はかなり老朽化していたので、お客様に「訪れてみたい」と思っていただけたり、就職活動されている方々が「ここで働きたい」と思っていただけたりするデザインにできればと考えていました。
ただ、そうした狙いとZEBの両立はすごく難しいんです。例えば、新事務所棟の前面には大きなガラス面を採用したり、バリアフリーのためにエレベーターを導入したりしていますが、それらはいずれも省エネの観点ではマイナス要因となります。
それでも、そうしたいくつもの課題解決とZEBの両立を実現するために、建設会社の方とさまざまな工夫を重ねながら進めていきました。

※1 【CASBEE(建築環境総合性能評価システム)】省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮や、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価し、格付けする手法。 5段階でランク分けされる。

※2【ZEB(Net Zero Energy Building)】建物で消費するエネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物。

―― ZEB認証取得に向けた工夫や挑戦について詳しくお聞かせください。

マキノ 建設会社さんとの挑戦は、本当に手探りでした。工場は電気使用量が大きいため、すべてを電気だけでまかなおうとすると、デマンドの壁があるため、初期費用も運用コストも跳ね上がります。
そこで出てきたのが、「電気とガスをうまく組み合わせてエネルギー構成を最適化する」というアイデアでした。電気消費の中でウェイトが大きいのが空調なんです。そこで、このオフィスでは、都市ガスを使った高効率の空調機「ガスヒートポンプエアコン」を採用しました。
さらに、排気の熱を再利用する熱交換式の換気システムによって空調負荷を下げたり、屋根に設置した太陽光パネルによって創エネすることで、省エネと環境配慮を両立しています。
加えて、自然光に合わせて明るさが自動で調整される照明や、人の動きに反応するセンサーライトなど、細部にわたる工夫も行いました。建材には、間伐材を使用した外壁材を採用し、CO₂の排出抑制にもつなげています。
こうしたいろいろな工夫を積み重ねた結果、全国でもまだ数が少ない最高ランクのZEB認証を取得できました。ガスヒートポンプを採用した建物としては国内初のZEB認証取得でもあります。


多くの想いと工夫を重ねて実現したこの建物は、単なる事務所を超えた、新たなつながりの拠点となりはじめています。
後編では、この場所に生まれている変化や、託された未来への展望に迫ります。

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