2026年2月27日

トップインタビュー 佐口 敏康社長に訊く

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グンゼは1896年創業し、2026年8月に創業130周年を迎えます。
変わり続ける時代の中で、なぜグンゼは130年にわたり存在し続けることができたのか。代表取締役社長 佐口 敏康氏に、「グンゼらしさ」の原点や、自身のキャリアを通して見えてきた価値観、そして130年のその先に描く未来への想いを聞きました。


130年の節目を迎えて

―― 130年という長い歴史を振り返ったとき、どのような言葉や感情が心に浮かびますか?また、創業者や、時代ごとに会社を支えてきた社員への想いをお聞かせください。

佐口 130年もの長きにわたり、世の中に必要とされ、存在し続けてこられたことに、まずは心から感謝しています。これは、創業者をはじめ、これまで会社を支え、つないできてくれた多くの社員一人ひとりの努力の積み重ねにほかなりません。一方で、130年続いたからといって、これからも当然のように存在し続けられるわけではない――そんな危機感も感じています。時代の流れを正しく捉え、自ら変わり続ける努力が、これまで以上に求められています。
この130周年を新たなスタートラインと捉え、これからも社会に必要とされ、選ばれ続ける企業でありたい。そんな想いを、改めて強く感じています。

歴史を振り返って感じること

―― 長い歴史の中で、グンゼが変わらず守ってきたものと、時代に合わせて変えてきたものは、何だと思われますか?

佐口 明治29年、京都府何鹿郡、現在の京都府綾部市で、創業者の波多野鶴吉が蚕糸事業、いわゆるシルクの糸づくりを始めたことが、当社のスタートです。当時の日本では、蚕糸事業が国を支える重要な産業でした。だからこそ、この事業を通じて地域を少しでも豊かにしたい、という創業者の想いがありました。
創業当時の社名である「郡是製絲株式会社」には、「郡の是となる会社でありたい」という願いが込められています。

 その後、時代の変化とともに、シルクを取り巻く環境も大きく変わっていきました。海外製品が増え、化学繊維といった新しい素材が登場する中で、当社はメリヤス肌着やストッキングの製造へと事業の幅を広げていきました。そうした挑戦を重ねた結果、現在ではアパレル分野にとどまらず、プラスチックフィルムやメディカル分野など、さまざまな領域で事業を展開しています。時代に合わせて変わり続けてきたことが、130年という長い歴史につながっているのだと思います。

 一方で、「優良品の生産」「人間尊重」「共存共栄」という創業以来の理念は、今も変わらず受け継がれています。中でも「優良品の生産」へのこだわりは、創業当初から一貫しています。
「良い人でなければ、良い糸はつくれない」。そんな考えのもと、教育にも力を入れてきました。良い製品を通じて、世の中やお客様が本当に望むものを届けたい。その精神は、今も私たちの根っこにあると思います。

社長ご自身の振り返り

―― これまでのキャリアの中で、もっとも印象に残っている出来事はどのようなものでしょうか?

佐口 グンゼといえば、多くの方がまず思い浮かべるのは「パンツの会社」というイメージでしょう。しかし、私が入社して最初に配属されたのは、飲料や食品の包装に使われるプラスチックフィルム事業でした。
当時、その事業は赤字が続き、業界内での存在感も決して高いとは言えない状況でした。営業活動は決して楽なものではなく、取引先の工場やメーカーを一軒ずつ訪ね、「お困りごとはありませんか?」と伺って回る、いわば御用聞きのような毎日でした。
そのため、入社から約10年間、いわゆる「売れた」という実感や成功体験を得ることは、ほとんどありませんでした。

転機が訪れたのは1990年代です。ごみの焼却時に発生する人体に有害なダイオキシンが、社会問題として大きく取り上げられるようになりました。当時、その原因の一つとされたのが、さまざまなフィルムの原料として使われていた塩化ビニル樹脂です。

実は当社では、この問題が注目される以前から、燃やしても有害な塩素系のガスが発生しない原料を使ったフィルムを提案していました。ただ、コスト面の課題もあり、なかなか取引先に受け入れてもらえませんでした。

しかし、塩化ビニル樹脂を問題視する動きが社会全体に広がると、状況は一変しました。取引先からの問い合わせが一気に増え、これまで続けてきた提案が、ようやく評価されるようになったのです。

さらに、小型のペットボトル飲料が普及し始めたことで、ラベル用フィルムの需要拡大が追い風となり、プラスチック事業としての手ごたえを感じられるようになりました。

長く成果が出ない時期が続きましたが、日々の地道な努力は決して無駄にはならない。
苦労して積み重ねてきたことが、“時期”が来て一気に花開く――そのことを実感できた経験は、私のキャリアの中でも特に印象に残る出来事です。

―― 仕事をする上で、“これだけは絶対にぶれない”と決めている大切な価値観や信念はありますか?

佐口 先ほど話したフィルムもそうですが、グンゼには“時期”が来るまで売れないものでも作り続けるといういい意味の“しつこさ”、いわゆる根気強さがあるかもしれません。
それができるのは、「いつか世の中に必要とされる」という信念をもって、ものづくりに取り組む姿勢があるからだと思います。

私自身も、「世の中に本当に必要とされる製品とは何か」を常に意識してきました。同時に、「人に迷惑をかけない」「絶対的に正しいかどうか考える」という二つのことも大切にしてきました。
そうした考えのもと、入社以来プラスチック事業一筋で取り組む中で、プラスチックフィルムを売ることに対する忸怩たる思いも、次第に抱くようになりました。
海洋プラスチック問題でも注目を集めましたが、プラスチックは、私たちの生活を便利にする欠かせない素材である一方、ゴミにもなります。グンゼでは、年間1万トン以上のプラスチックフィルムを生産しています。4トントラックに換算すると2,500台分に相当します。その現実を前に、「限りある資源を何とか循環させ、ゴミにしない仕組みをつくりたい」という想いが、私の中で次第に強くなっていきました。

その想いを形にしたのが、滋賀県守山市にあるプラスチックフィルムの基幹工場に新設した「サーキュラーファクトリー®」です。この工場では、生産工程で発生するフィルムの端材や規格外品を再資源化することで、ゴミゼロ化に取り組み、2025年度その目標を達成しました。また、工場内には、リサイクルセンターも設置し、プラスチックフィルムのリサイクル技術の開発をはじめ資源循環に関わるさまざまな技術開発を進めています。
今後は、これらの取り組みを国内外の生産拠点に広げることで、2030年までにグンゼのプラスチック事業における生産廃棄物のゼロ化を目指しています。

サーキュラーファクトリー
サーキュラーファクトリー

今のグンゼへの想い

―― グンゼの強みや、創業から130年続くDNAは、どのようなものだと思われますか?

佐口 創業者は、要領よく立ち回るというよりも、まじめにコツコツと物事に向き合うタイプだったと思います。

不器用だけれど、まじめ。
目の前の仕事をおろそかにしない。

その姿勢は、130年を経た今も、社員一人ひとりの行動や仕事への向き合い方に、受け継がれていると感じます。例えば、肌着を作るにしても、糸の1本1本、生地の編み方、縫製の仕方といった細かい部分にもこだわって”ここちよさ”を追求しています。機能ソリューション事業やメディカル事業に関しても同じことが言えます。お客さまのお困りごとを解決するために、それぞれの立場で強いこだわりをもってものづくりに取り組んでいます。

グンゼ創業の地である綾部には、今も山があり、田んぼがあり、畑があります。こうした日本の原風景の中で育まれてきた企業だからこそ、派手さよりも、地道に、誠実に取り組む姿勢が根づいてきた。
それこそが、グンゼの強みであり、文化なのだと思います。

グンゼ綾部本社 グンゼ記念館
グンゼ綾部本社 グンゼ記念館

グンゼのDNAを象徴するエピソードで、私が「グンゼらしい」と強く感じた出来事の一つが、コロナ禍でのマスク販売です。新型コロナウイルスの感染拡大により、世の中で深刻なマスク不足が起こりました。当社でもマスクを発売しましたが、市場に出すまでには時間を要しました。

マスクがきちんとフィットするか、耳にかける部分が痛くならないか、どの程度飛沫を防げるのか
――そうした点を一つひとつ丁寧に検証することに、時間をかけたからです。正直に言うと、もっと早く発売していれば、より多く売れたと思います。それでもグンゼは、すぐに発売しなかった。「早く出せば売れる」状況であっても、「良いモノをつくる」という姿勢を、頑なに守った。
この判断こそが、グンゼらしさを象徴していると感じますし、私は、心から誇れることだと思っています。

これからのグンゼへの想い

―― これから先100年、グンゼが社会に果たすべき役割はどのようなことだとお考えですか?また、次のステージに向けて、社長ご自身が “守り続けると決めていること”を教えてください。

佐口「その時代に求められる価値を、提供し続けること」。これこそが、グンゼの強みであり、社会における役割だと考えています。時代や環境が変わっても、お客様の声に真摯に耳を傾け、「良い」と評価していただける優良品を世に送り出し続ける。その積み重ねこそが、社会に必要とされ、これから先の200年、300年と続く企業につながっていくのだと思います。

また、当社の経営理念の一つに「共存共栄」という言葉があります。私はこの言葉には、現在だけでなく、未来との共存共栄という意味も込められていると考えています。次の世代にどのような未来を残せるのか。今、私たちが行っていることを、未来の人々への“ツケ”として残してはならない――。
この考え方は、次のステージに向かう中でも、変えることなく守り続けていきたい価値観です。


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