2026年9月11日

トップインタビュー 新社長が語る、未来への思い
-「挑戦」が、グンゼの未来をつくる 世界に向かって変わり続けるグンゼへ―

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2026年6月、グンゼは新たな経営体制のもと、新しい一歩を踏み出しました。
創業130年を超える歴史を持つグンゼは現在、「VISION 2030 stage2」として、「創りかえる」をテーマに事業構造や組織、人事制度の改革を進めています。変化の激しい時代に、どのような会社を目指し、社会や社員にどのような価値を届けていくのか。岡新社長に、これまでの経験や仕事観、そして未来への思いを聞きました。


「変えるべきもの」と「守るべきもの」

―― 社長に就任されて、現在のグンゼをどのようにご覧になっていますか。

130年以上の歴史を持つグンゼの社長という大役を任され、責任の重さを日々感じています。一方で、今はとても重要なタイミングでもあります。人口減少や価値観の多様化、地政学リスク、気候変動など企業を取り巻く環境は大きく変化しています。これまでの延長線上に未来があるとは限りません。だからこそ、今のグンゼには「変わる勇気」が必要だと考えています。

現在進めている「VISION 2030 stage2」は、「創りかえる3年間」とし、収益力や資本効率を高めながら、次の成長につながる経営基盤を築く期間と位置付けています。構造改革や事業ポートフォリオ改革、人事制度改革など、さまざまな取り組みを進めていますが、大切なのは改革そのものではありません。
改革の先に、「持続的に利益を生み出し、社会から必要とされ続ける企業」になることです。

ただし、変えるべきものがある一方で、変えてはならないものもあります。
「人間尊重」「共存共栄」「優良品の生産」という創業の精神は、130年以上受け継がれてきたグンゼの原点です。この価値観を土台にしながら、新しい時代に合わせて進化していく。守るべきものを大切にしながら、変えるべきところは思い切って変えていく。それが、今の私に課された仕事だと思っています。

海外で学んだ「環境適応力」が経営の原点

―― 現在の経営に最も影響を与えた経験は何でしょうか。

2004年からアメリカの子会社で社長を務めた経験です。当時は赤字で経営環境も厳しい状況でしたが、それ以上に印象に残っているのは、働く人たちの価値観でした。

「限られた時間しか働けません。でも成果は必ず出します。」

そんな言葉を当たり前のように口にし、実際に高い成果を上げる人がたくさんいました。日本では、どうしても「長く働くこと」が評価につながる場面があります。しかし現地では「何を実現したか」が評価の基準でした。その経験から、成果と労働時間は必ずしも比例しないこと、多様な人財が力を発揮できる環境こそ組織を強くすることを学びました。

そして何より実感したのが「環境適応力」の重要性です。環境が変われば正解も変わります。だからこそ、変化を受け入れ、自ら学び、適応していく力が企業にも個人にも欠かせないと考えています。現在進めている人事制度改革にも、この経験は生かされています。

「グローバル」は海外売上だけを意味しない

―― 岡社長は「グローバル」という言葉をよく使われているように感じます。その理由を教えてください。

「グローバル」というと、海外売上を増やすことをイメージされるかもしれません。
もちろん、それも重要です。しかし、私が本当に伝えたいのは「人」の成長です。
海外では、日本とは違う文化や価値観の中で仕事をすることになります。思いどおりにいかないこともたくさんあります。

だからこそ、人は成長します。変化の中で考え、判断し、行動する力が身に付きます。これからの時代は、正解が一つではありません。だから私は、社員の皆さんには世界へ飛び出してほしいと思っています。

失敗しても構いません。
挑戦した経験は、その後の仕事や人生に必ず生きてきます。
グローバルとは海外で事業を拡大することだけではなく、多様な価値観を受け入れ、変化に対応できる人財を育てることでもあるのです。

「思い」の強い人が、未来を切り拓く

―― 社員にはどのようなことを期待していますか。

私は、会社で一番成長する人は「思いの強い人」だと思っています。能力や経験よりも「これをやりたい」という強い気持ちがある人です。

海外でも国内でも、挑戦には必ず壁があります。食事が合わないこともあれば、言葉が通じないこともある。新しい仕事では、知識も経験も足りないかもしれません。

それでも「やりたい」という思いがあれば、人は学び、工夫し、周囲を巻き込みながら前へ進んでいきます。逆にその思いがなければ、小さな壁でも諦めてしまいます。だから私は、社員の皆さんから「こんなことをやりたい」という提案があれば、まず「レッツトライ」と背中を押したい。挑戦する人が増えれば、会社はもっと強くなると信じています。

挑戦を後押しする組織へ

―― 挑戦する人を増やすために、会社として必要なことは何でしょうか。

「挑戦してください」と言うだけでは、人は挑戦しません。失敗したら評価が下がると思えば、誰もチャレンジしなくなります。だからこそ新しい人事制度ではチャレンジ目標を取り入れ、難易度の高い挑戦そのものを評価する考え方を導入しました。

また、会社が目指す方向を社員全員が理解し、納得して進むことも重要だと考えています。そのためには双方向のコミュニケーションが欠かせません。私が「グローバル」と言うなら、「なぜですか」と聞いてほしい。そして私も、その理由をきちんと説明する責任があります。社員一人ひとりが会社の方向性を理解し、自分の仕事とのつながりを実感できる組織こそ、本当に強い組織だと思います。

技術で社会課題の解決に貢献する

―― 社外の皆さまには、グンゼをどのような会社として知っていただきたいですか。

私は、グンゼの強みは創業以来培ってきた「糸を作る」「糸を編む」「糸を織る」という「技術」と、それをコストや品質を考えながら量産できる形に仕上げる「人」だと考えています。機能ソリューション、アパレル、メディカル、ライフクリエイト。それぞれ異なる事業に見えますが、その根底には長年培ってきた素材技術や加工技術があります。

メディカル製品では吸収性素材を編み、医療材料を作っています。エンプラ事業では細い糸を織って高機能フィルターを製造しています。プラスチック事業でも均一な膜を作る技術など、繊維加工技術が基盤になっています。
創業時から受け継がれてきた技術が現在の各事業へ応用されていることが、グンゼ最大の特徴です。今、私たちはその技術を改めて見つめ直し、事業の枠を越えて新しい価値へ結び付けようとしています。

技術は製品をつくるためだけのものではありません。お客さまの課題を解決し、環境負荷の低減や資源循環、医療分野などへの新たな価値の創出など、社会課題の解決に貢献するための力でもあります。130年を超える歴史の中で培ってきた技術を、次の時代の価値へとつなげていく。それが私たちの使命だと考えています。

世界中から信頼される企業を目指して

―― 最後に、お客さまや社員をはじめ、すべてのステークホルダーへメッセージをお願いします。

私には入社した頃から変わらない夢があります。それは「世界中の人がグンゼを知っている会社にすること」です。しかし、それは単に知名度を高めたいという意味ではありません。世界中のお客さまから信頼され、取引先さまから選ばれ、投資家の皆さまから期待され、地域社会から必要とされる企業になること。それが私の考える「世界で知られるグンゼ」です。

社会から必要とされ続ける企業であるためには、利益だけを追い求めるのではなく、すべてのステークホルダーとともに成長していくことが欠かせません。だからこそ、私たちは挑戦を続けます。

変えるべきものは変え、守るべきものは守る。

その姿勢を貫きながら、次の130年へ向けて歩みを進めていきます。そして社員の皆さんには、最後に一つだけ伝えたいことがあります。

「私は、あなたの挑戦する姿勢を評価しています。」

高校時代、私はロックバンドに夢中になり、受験では思うような結果を出せませんでした。しかし、本気で挑戦した時間を後悔したことは一度もありません。その経験があったからこそ、その後は目標に向かって努力し、自分の道を切り拓くことができました。
挑戦には失敗がつきものです。それでも挑戦しなければ、新しい景色を見ることはできません。グンゼの未来をつくるのは、一人ひとりの挑戦です。

社員の皆さん、お客さま、お取引先さま、株主・投資家の皆さま、そして地域社会の皆さまとともに、新しい価値を創造し、世界中から信頼される企業を目指して歩み続けたいと思います。


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