資源循環

プラスチック資源循環基本方針 海洋プラスチック問題に対する国際的な意識の高まり、新興国におけるゴミ問題の深刻化から使い捨てプラスチックに対する規制強化の流れが加速し、その対応は2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)においても求められている。国際的な取組みが加速している海洋プラスチック問題に対して、プラスチックフィルム包装材料等を製造販売している事業会社としての社会的責任を認識し、本方針を制定する。

グンゼは、プラスチックの3R + Renewableを積極的に推進し、廃棄量を削減することで、
プラスチック資源が循環する社会の実現に貢献する。

  1. プラスチックの減量化・再利用を推進する。
  2. 分別・リサイクルし易い製品設計と再生原料の積極的使用により、効果的・効率的なプラスチック資源循環に貢献する。
  3. 植物由来原料による製品開発を行い、石油化学原料の使用量削減に貢献する。
  4. 廃棄物の適切な管理と環境負荷を低減する生産活動により、つくる責任を果たす。
  • ※3R + Renewable
    3Rは、Reduce(リデュース=製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすること)、Reuse(リユース=使用済製品やその部品等を繰り返し使用すること)、Recycle(リサイクル=廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること)の頭文字 R を指し、これにRenewable(リニューアブル=再生利用)を加えたもの。

廃プラ排出量の削減実績(プラスチックフィルム分野)

廃プラ排出量
2024年度 360t
2020年度 1016t

生産技術のイノベーション プラスチックグループの主力工場である守山工場では、主にペットボトル飲料や洗剤容器のラベルに使用される収縮フィルムを生産しています。
2019年に生産工程で発生した生産屑は年間約1,200トンで、その多くが廃棄処分されていました。そこで私たちは生産屑のゼロ化、いわゆる「ごみゼロ」の実現を目標に、再原材料化に着目し、新たなリサイクル設備の導入と、生産屑削減に注力しました。
また、こうした活動を守山工場に限定せず、国内2社、海外3社工場にも展開すべく、オンラインでのごみゼロ会議を繰り返し行った結果、2023年度生産屑は400トンまで圧縮できました。
守山工場では、2024年度には「ごみゼロ」を達成し、並行して、得意先で発生する生産屑を回収して原材料に戻すPIR※1を進めていきます。
将来的には廃プラの市中回収を行うPCR※2も、得意先や行政、地域の協力を得ながら進めていきます。
サーキュラーファクトリー®内に導入したラインの無人化・自働化の取り組みとしては、新ラインを既存ラインと並べて、異常発生時のみ旧ラインの作業者が作業に駆け付ける仕組みを構築。
さらに新ラインの川上工程である原料投入と、川下工程の梱包工程を自働化することで、実質無人化ラインが完成しました。加えて、新ラインには生産トラブル発生時に原材料吐出を自働で抑制する機能を付けたことで、ロス量の極小化にも貢献しており、将来の夜間無人操業への布石としました。
また、フィルムのリサイクル方法は多様で、工場内で発生した印刷前フィルム屑は、再資源化のハードルが比較的に低いものの、得意先の印刷メーカーで発生したフィルム屑はインキを取り除く工程(脱墨)が必要なため、工数も難易度も上がります。
すでに印刷済フィルムの脱墨による再資源化は実現可能レベルにありますが、コストに課題があります。今後も社会性と経済性の両立を目指し、目標達成に取り組んでいきます。

※1 PIR:Post Industrial Recycle。生産プロセスで発生する廃棄 物の回収、再資源化
※2 PCR:Post Consumer Recycle。市場で使用済みの廃棄物の 回収、再資源化

生産屑の再原料化装置

商品開発のイノベーション グンゼは、異種積層フィルムの開発をコア技術としています。
特に、ポリスチレン(PS)とポリエステル(PET)を積層したハイブリッド収縮フィルムは、高収縮性(美麗性)と剛性(薄膜化)という2つの特性を兼ね備えているため、ペットボトルにとどまらず、異形容器や耐熱性が弱いトイレタリー用品などにも広く採用されています。
グンゼは、「多種多様な原料を選択して加工すること」を強みとして、特徴あるフィルムを開発し、価値を創造してきました。
しかし、異なる複数の素材で構成されたフィルムを材料ごとに分離する場合、リサイクルの難易度が上がるため、材料単体で構成してリサイクルを容易にするモノマテリアルの流れが世界的に主流となりつつあります。
そのような状況でも、グンゼは、あくまで異種積層技術を活かすことを前提に、フィルムの分離再生技術を確立して、リサイクルの課題を解決したいと考えています。
2024年2月に異種分離の実験装置が完成し、今後は社内でのリサイクルに加え、お客さまのもとで発生した生産屑をフィルムに配合し、製品のリサイクル配合率を高めていきます。
すでにリサイクル原料を配合した製品を市場に投入しており、2022年度末には、リサイクル原料30%使用の「GEOPLAS® HCT3」を発売、2023年度末には、リサイクル原料含有5%で業界最軽量となる「GEOPLAS® HCX1」を発売しました。
後者はリサイクル比率が少ないものの、薄膜化技術によって材料を削減した結果、業界最軽量の製品となりました。
さらにリサイクル配合率を高め、2030年までには循環型原料100%の製品供給を進めます。
そして、守山工場をサーキュラーファクトリー®のモデル工場として、そのノウハウを他の生産拠点にも投入することで、「サーキュラーメーカー」に変革したいと考えています。

異種積層フィルムの分離実験装置

異種積層フィルムの分離実験装置

「GEOPLAS® HCX1」が採用された飲料

「GEOPLAS® HCX1」が採用された飲料

サーキュラーファクトリー®の理解促進活動(プラスチックフィルム分野) 2023年4月に、太陽光や地下水のエネルギー活用、プラスチック廃材を出さない「ゼロ・エミッション」の実現、さらにサステナブル製品の生産のため、約4年の構想期間を経て守山工場に「サーキュラーファクトリー®」が完成しました。2025年11月末までのおよそ2年半で、約420企業(団体)、約2,500名の見学者を受け入れています。コロナ禍で営業担当者は顧客への訪問回数が減り、お客さまの課題やニーズをヒアリングする機会も減っていましたが、この活動をきっかけに環境対応に対する具体的な提案が進み、各種協業プロジェクトにつながっています。また、オンラインによる海外顧客向け工場見学会も実施し、リアルタイムでの対応が好評を博しています。
守山工場の管理事務所には、工場見学者情報を掲示するホワイトボードがあり、ほぼ余白なく埋まった月間見学表が日々更新されています。見学者は、お得意先さまが中心ですが、行政や地域関係者が多いのも特徴です。これまでは秘密保持の観点から、社外の方を工場に案内する機会はほとんどありませんでした。今回、新工場に通路まで設けて見学者を受け入れたのは、資源循環の取り組みは、一企業単独では実現が難しいためです。例えば、リサイクル回収は行政や地域関係者の協力が不可欠で、素材開発はリサイクル技術や廃棄物処理に長けた顧客の協力が必要です。資源循環の促進という意味では、業界全体を巻き込んでいく必要があります。そのため、敢えて新たな取り組みを開示する戦略に転換しました。
見学者の反応は好評で、顧客との資源循環型のモデルケースもできつつあり、こうした動きが今後の戦略に向けた足掛かりになると信じて、活動を続けていきます。

海外顧客に向けたオンライン説明

海外顧客に向けたオンライン説明

サーキュラーファクトリー®の外観

サーキュラーファクトリー®の外観

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サーキュラーファクトリーに関する動画はこちら

他社との協働によるラベルtoラベルの取り組み ラベルtoラベルとは、使用済みのパッケージラベルから印刷されたインキを取り除き、新しいラベルに再生する技術です。
ラベルが再びラベルに生まれ変わることで、資源循環と温室効果ガス削減に寄与します。

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