E:環境

基本理念

われわれは、環境に優れた製品・サービスの提供を通じて、恵み豊かな地球社会の発展に貢献する。また、われわれは自然の恵みに大きく依存している事実を正しく理解し、生物多様性の保全に配慮した地域環境との共生に努める。

行動指針
  1. 事業活動の全ての場面において環境負荷の低減に努め、関係する国内外の生物多様性、地域社会に及ぼす影響などに配慮する。
  2. 法・条例の順守はもとより、自主管理基準を設定し、環境管理水準の向上に努める。
  3. 資源、エネルギーの効率的利用をはかり、温室効果ガスの排出抑制に努める。
  4. 廃棄物の発生量の低減に努めるとともに、回収・再利用化の推進を行い、資源循環に努める。
  5. 環境に優れた製品の研究開発、および環境負荷を低減する生産技術、環境技術の開発に努める。
  6. 構成員の環境意識の向上をはかり、地域社会の一員として環境保全活動に協力、貢献する。
  7. 海外事業の展開において、環境への配慮と環境技術移転に努める。
  8. 万一、事故等による問題が発生した場合には、迅速に環境負荷の最小化に努める。
グンゼは、プラスチックの3R + Renewable
積極的に推進し、廃棄量を削減することで、
プラスチック資源が循環する社会の実現に貢献する。
  1. プラスチックの減量化・再利用を推進する。
  2. 分別・リサイクルし易い製品設計と再生原料の積極的使用により、効果的・効率的なプラスチック資源循環に貢献する。
  3. 植物由来原料による製品開発を行い、石油化学原料の使用量削減に貢献する。
  4. 廃棄物の適切な管理と環境負荷を低減する生産活動により、つくる責任を果たす。
  • 3R + Renewable3Rは、Reduce(リデュース=製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすること)、Reuse(リユース=使用済製品やその部品等を繰り返し使用すること)、Recycle(リサイクル=廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること)の頭文字 R を指し、これにRenewable(リニューアブル= 再生利用)を加えたもの。

グンゼグループは、2021年10月に金融安定理事会(FSB)の「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言」に賛同を表明しました。TCFDでは、気候変動に関する検討体制や、気候変動が中・長期の企業価値に及ぼす影響および気候変動によるリスク・機会の特定について評価するための指標と目標、さらにこれらの検討内容が企業経営にどのように反映されるかなどの開示が求められています。

①ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティガバナンス体制に組み込んでいます。

②リスク管理

気候変動に関する主なリスクは、サステナビリティガバナンス体制図を基本とし、重要な課題は「サステナビリティ委員会」「リスクマネジメント委員会」から経営執行会議に報告の上、取締役会に報告されることにより、全社リスクを統合、管理しています。

③戦略

グンゼグループの主要事業として「プラスチックフィルム分野」と「アパレル事業(インナーウエア分野)」をシナリオ分析実施対象事業に選定し、短期~長期におけるリスクの特定とその対応策の検討および機会の抽出を実施しました。今回は、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、1.5℃目標に対応した分析を実施しました。 具体的には、IEA「World Energy Outlook2020」で示されているNZE2050※1などの「脱炭素シナリオ(1.5℃シナリオ)」と、IPCC AR5のRCP8.5シナリオ※2などを踏まえた「温暖化進行シナリオ(4℃シナリオ)」をはじめとした政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートなどを参考に、2つのシナリオを設定し、脱炭素経済への「移行リスク」および温暖化進行に伴う「物理リスク」の分析を行っています。グンゼグループは、今後も継続的にシナリオ分析の内容を見直し、戦略のレベルアップを図ります。

④指標と目標

計画的なCO2排出量削減に向けて、各事業活動において省エネ・創エネ・再エネ利用などの取り組みを強化し、3R(リサイクル・リユース・リデュース)の推進など資源循環、環境負荷に配慮した対応を行います。2023年度よりプラスチックフィルム分野ではサーキュラーファクトリーにおいて新設製造機が稼働し、エネルギー原単位削減に貢献しています。シナリオ分析により得られた、リスクと機会に対応した製品の開発、上市も積極的に進めています。具体的にはプラスチックフィルム分野では、ラベル包装用収縮フィルムの環境対応グレード「GEOPLAS®」において、マスバランス方式のリサイクル原料を5% 以上使用し、自動ラベル装着機に対応した国内最軽量収縮フィルムを開発、上市しました。さらに、アパレル事業(インナーウエア分野)では、年々厳しさを増す夏の暑さに対し、独自のテクノロジーで汗による不快感を解消するファンクションブランド「アセドロン」を開発、上市しました。今後もエシカル消費への対応を含め環境配慮型商品の開発、上市を積極的に進めていきます。

  • 1NZE2050:Net Zero Emissions by 2050 IEAによる「World EnergyOutlook2020」にて示されたシナリオの1つ。パリ協定の目標を上回る1.5℃シナリオにあたり、2050年までにCO2排出量ゼロを目指すシナリオ。
  • 2RCP8.5シナリオ:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書(AR5)統合報告書(SYR)の政策決定者向け要約 図SPM6の2100年に2.6℃~4.8℃の気温上昇が予想されているシナリオ。
気候変動によるリスク/機会への対応
リスク項目 リスク 時期 財務
インパクト
影響度
プラスチックフィルム分野 インナー
ウェア
分野
リスクへの対応と機会
移行リスク
(1.5℃)
炭素価格 各国で排出権取引や炭素税が導入され操業コストが上昇。 中期
~長期
リスク対応:再エネ投資拡大や低炭素エネルギーへの移行により炭素税の財務影響を抑える。
各国のプラスチック規制 規制強化によるバイオ素材やリサイクル素材の導入により原材料価格が上昇。 短期
~長期
リスク対応:廃プラの分解・再利用技術を確立し、顧客ニーズをとらえた製品提供を実施。
エネルギーミックスの変化(電力価格) 電力会社の再エネ比率が上昇し、電力価格が上昇。 中期
~長期
リスク対応:消費電力の少ない機器の利用。自家消費型太陽光発電の設置を推進する。
EV・再エネ普及率 中期
~長期
機会:EV普及に伴うリチウムイオン電池や、半導体用フィルム販売を強化。
重要商品の価格増減 原油由来の合成繊維の製造コストが上昇。 短期
~長期
リスク対応:原油由来から自然由来素材への転換を推進。
顧客行動の変化 環境負荷影響度に応じて購買決定する消費者の増加。 中期
~長期
リスク対応:エシカル消費に対応した環境配慮型商品の販売を拡大。
物理リスク
(4℃)
異常気象 風水災による事業活動の停止及びサプライチェーンの途絶により売り上げ減少。 短期
~中期
リスク対応:製造拠点・物流におけるサプライチェーンの防災強化により。事業継続能力を強化。
気温上昇
(綿花栽培量)
気温上昇により綿花価格が上昇。 中期
~長期
リスク対応:バイオマテリアル、リサイクル素材の開発。
気温上昇 短期
~長期
機会:根性商に対応した商品。(シュリンクフィルム、肌着)
  • 時期短期1~2年、中期3~5年、長期6~10年
  • 2050年の財務インパクト影響度小=1億円未満、中=1億~10億円未満、大=10億円以上
CO2削減実績(Scope1、2、3)
2023年度 対2022年度比 対2013年度比
排出量(t-CO2 削減量(t-CO2 削減率(%) 削減量(t-CO2 削減率(%)
実績 Scope1+2 115,517 2,807 2.4% 56,991 33.0%
Scope1 34,732 3,912 10.1% 17,581 33.6%
Scope2 80,785 -1,105 -1.4% 39.411 32.8%
Scope3 390,856 33,005 7.8%
  • Scope1、2は国内・海外のグンゼグループ全事業所を対象に算定(Scope2の算定はマーケット基準)
  • Scope3は国内のグンゼグループ全事業所を対象に算定
① Scope1、2の実績について

Scope1、2のCO2排出量削減実績は合計115,517t-CO2(対前年97.6%)で、2023年度目標「2013年度比27%以上」に対して実績33%となり、目標を達成することができました。グンゼグループはCO2排出量削減の基本的な活動として、省エネおよび再生可能エネルギー拡大に努めています。2023年度実績は、市況動向に合わせた生産調整および国内外の電力係数の増減による影響を受けました。今後、このような外的要因の影響を最小限に抑え、持続性のあるCO2削減活動とするために、設備老朽化タイミングでの高効率設備への切り替え、EMS※3を中心としたエネルギーロスの見える化による事業所全体での継続性のある省エネ活動の展開、さらに従来の太陽光発電パネルによる全社活用の最大化を強力に推進し、再生可能エネルギー比率の拡大に努めていきます。また、2030年のCO2排出量削減目標の達成に向けて、次世代太陽光設備の導入についての取り組みも積極的に推進していきます。

※3 EMS : Energy Management System

② Scope3の実績について

2023年度のScope3排出量は390,856t-CO2となり、前年に比べ約8%削減できました。この結果にはプラスチックカンパニーのサーキュラーファクトリーを始めとする資源循環戦略の推進実績が大きく貢献しています。グンゼグループのCO2排出量はScope1、2に比べ、Scope3のウエイトが大きく、その中で大きな排出量を占めるプラスチックカンパニーとアパレルカンパニーを中心に、「カテゴリー1」(購入した製品・サービス)と「カテゴリー12」(販売した製品の廃棄)の削減に向けて、資源循環、サステナブル調達を重点的に推進しています。今後さらに全社的なScope3削減への取り組みを強化するために、資源循環とサステナブル調達における目標の設定、公表を検討していきます。Scope3算定・削減の取り組みは国内から開始していますが、今後海外事業所におけるScope3の影響度の確認も進めていきます。