人財戦略

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グンゼグループは、中期経営計画「VISION 2030 stage1」において人財戦略の基本的な考えを次のように定めています。
「人財」は最大の経営資源。企業競争力の礎であり、全ての構成員が働きがいを持ちながら能力を十分に発揮できる企業風土を醸成し、夢のある元気な会社になる
またこの戦略に基づき、求める人財像を「異なる価値観を受容し、自ら考え行動しやり抜ける、得意分野で価値提供できる人財」と定め、「多様性」「自律性」「活躍」の本柱に集約した人財マネジメント方針に沿った取り組みを進めているところです。この活動を進めるにあたって、まず従業員や組織の状況を明らかにするとともに、効果を検証するために2022年よりエンゲージメント調査を実施し、2年が経過しました。
その結果は、現時点では目標には届いていませんが、グンゼの強みと課題は明らかになりました。エンゲージメントを構成する要素は会社の仕組みに関するものから、職場の人間関係、従業員の健康状態まで多岐にわたります。さらに、それぞれの課題は一対一の施策で解決できるものではありません。現在は以下に紹介する取り組みを進めていますが、成果を実感できるのはこれからだと思っています。
今後は2026年度を目標に、抜本的な人事処遇制度改革を実施する予定ですが、各職場の状況にも目を向けて、風通しがよく働きやすい環境づくりを進めていきたいと思います。結果として、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上を実現し、グンゼグループの人的資本を最大化することにより、社会から選ばれる会社を目指していきます。

マテリアリティ、KPI(2024年度→2030年度目標)
区分 指標 2023年度 KPI
2024年度目標
2030年度目標
目標 実績
企業体質
の進化
女性活躍の推進 女性管理職比率 5.0% 7.0% 6%以上 20%以上
女性社員比率 34.0% 33.8% 35% 41%
女性新卒総合職
採用比率
(交替勤務除く)
50.0% 51.9% 50% 50%
子育て支援 男性育児休業取得率 40.0% 42.0% 50% 70%
組織風土づくり エンゲージメント
スコア
64点想定 62点 70点想定 80点想定
働き方改革 年休取得率 75%(15日) 74.5%(14.9日) 75% 100%
エンゲージメントスコアから見るグンゼの強みと課題
エンゲージメント要因分析(主要項目)
強みを持つ領域 給与への納得感 事業・サービスへの誇り 部署間での協力
課題のある領域 キャリア機会の提供 やりがい 上司との関係
1.人事処遇制度改革

働き方の多様化や人的資本経営の推進などにより、昨今企業を取り巻く環境は激しく変化しています。現行の人事処遇制度は2001年に制定後、個別見直しを重ねることで環境変化に対応してきました。今後優秀な人財を確保・定着することで、さらに企業価値を高め、夢のある元気な会社になるために、現行の延長線ではない抜本的な人事処遇制度改革を2026年度実施に向けて取り組んでいます。また、2024年度より、2026年施行の新制度を見越し、キャリア自律の早期実現に資する現行制度の是正を一部実施しています。

2.働き方改革

従業員が安全・健康、かつ力を発揮できる環境を実現するため、DXによる業務改善や労働時間管理の徹底、また長時間労働の削減、多様なバックグラウンドを持つ従業員が自分に合った働き方を選択できるような諸制度(テレワーク、フレックス制度など)の整備・拡充を継続して行っています。また、年間総実労働時間の削減に向けて、所定労働時間の短縮や、有給休暇取得率向上を推進しています。2024年度から、休日数に差がある生産現場の年間休日数を増やすとともに、育児休職の一部有給化を実施しています。

3.D&Iの推進

グンゼグループではD&Iを最も重要な人財戦略の一つと位置付けており、なかでも女性活躍のさらなる進化が重要課題と認識しています。「各組織の意思決定者の一定割合を女性が占めている」状態の実現に向け、女性総合職の母集団の充実や、リーダー育成に積極的に取り組んでいます。

① 女性リーダー層の形成・育成(GLSL:グンゼリーダーシップスクール・レディス)

女性リーダー層の定着・育成を目指し、キャリア形成研修「グンゼ働きがいのある職場環境に向けてエンゲージメントスコアについてグンゼの経営理念において、最も大切にしている「人間尊重」の考え方を基本に、すべての構成員が働きがいを持ちながら能力を十分に発揮できる企業風土の醸成を目指し、以下の取り組みを進めています。エンゲージメント向上に向けたグンゼの取り組み執行役員人事総務部長小倉 誠リーダーシップスクール・レディス(GLSL)」を2022年度より導入しました。GLSLでは、女性の活躍に対する会社からの期待を理解し、自立的キャリアを形成するスタンスを習得し、自らのキャリアイメージを醸成することにより、将来の選択肢として「管理職になること」を前向きにとらえる機会とすることを目的としています。

② メンタリング制度

女性の総合職・地域総合職社員が同性の先輩(メンター)に接する機会をつくり、ネットワークの構築と、若手~中堅の女性の定着・育成・離職防止に加えて、ワークライフバランスを踏まえたキャリア開発支援を図る目的で2013年度にメンタリング制度を導入し、現在も継続しています。多様な考え方を考慮し、2024年度からはメンター候補に男性先輩社員を加えました。

メンタリング制度利用者数推移
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
実績 17名 11名 9名 7名 8名
③ 両立支援

女性だけでなく、男性も育児休職を取得しやすい職場環境を整備するために、両立支援のサポート面談制度を導入するとともに、管理職向け「両立支援のためのハンドブック」を作成、周知を図っています。部下と上司が定期的に面談することにより、制度理解や育児休職からの復職をスムーズに行えるよう、サポートを行っています。また、2022年より、育児による休職者のキャリア影響を最小限に抑えるため、①育児休職早期復職者の保育料補助、②延長保育料補助、③ベビーシッター等利用料補助などを行っています。

4.キャリア自律の推進

昨今の先行き不透明な状況下で企業価値を高めていくためには、人財を「資本」と捉えた人的資本経営に取り組むことが重要であり、自らのキャリアを意識して自律的に行動する人財を育成することが強く求められています。グンゼグループは一人ひとりが多様性と自律性を備え、自らの強みを生かしたキャリアを実現させるとともに、そのキャリア形成を会社として支援し、戦略的かつ適所適財な配置を行うことを推進しています。

① 戦略的かつ適所適財なローテーションと配置の実施

2023年より、各部門の人財情報を共有できる場として人財交流会議「Human Resource Share」を設置し、自律的にキャリアを描き、本人主体の異動機会を広げる場として開催しています。この取り組みにより、特に若手のキャリア形成が実現、2023年度は50%の割合で本人希望による異動が実現しました。

② 主体的なキャリア形成の支援

主体的なキャリア形成を支援するために、さまざまな支援の機会を拡充しました。

キャリア教育の拡充

社員のシニア層の構成比率が高いグンゼグループにおいて、シニア層がいきいきと働き、パフォーマンスを発揮し続けることが重要な人事課題だと考えています。そこで、キャリア研修の受講機会を50歳時点に加え、新たに40歳時点、56歳時点にも拡充しました。
また、これまで正社員に限定していた通信教育などの自己啓発支援制度を、定年後再雇用社員や契約社員にも拡大し、リスキリングやリカレントの機会を拡充しました。

1on1ミーティングの定着

2022年に導入した1on1ミーティングでは、上司とメンバーのコミュニケーションの機会を増やすことで心理的安全性を醸成し、信頼関係を強め、これらを土台としてメンバーの成長を支援する場となるように活用しています。2024年度現在、導入から2年が経過し、課題についての検証を踏まえ、グンゼ独自の事業体制に適合した進め方にも配慮しながら改善に取り組み、引き続き定着を進めています。

キャリア相談体制の充実

人事スタッフによるキャリア関連資格の取得を進め、キャリアに関する支援体制を強化しました。2023年5月に設置したキャリアサポートデスクでは、キャリア形成、人間関係、能力開発など、働く上での多様な悩みの解決をサポートしました。2024年4月現在で11件に応じましたが、さらなる利用拡大の促進に取り組みます。

5.経営参画意識の向上

次代を担う若手世代が、30年後の自分や会社のありたい姿を想像しながら、個人×会社×社会(課題解決)のつながりを実感し、未来を見据えた経営参画の機会を創出することを目指して、長期戦略を考えるワークショップ“将来を創造しよう!そうしよう!”を国内の5拠点、総勢130名で開催しました。Will(自らの意思)とMust(会社の使命)について語り合うことで、グンゼの未来を自分ごとと捉えて、主体的、自律的な経営参画意識の醸成を目指します。

キャリアサポートデスクの設置(2023年5月より)

人生100年時代に入り、自律的なキャリア形成を実現するため、従業員は自らのキャリアをデザインし、人生の目標やキャリア像(ライフキャリア)を見定め、それに向けて働きながら歩んでいかなくてはなりません。それらを積極的に支援するため、このたび「キャリアサポートデスク」を設置しました。働く中で起こりえるさまざまな問題について、従業員が一人で考えるのではなく、会社が伴走者となって一緒に考えることをその役割としています。