気候変動対応

環境配慮製品についてはこちら

CO₂排出量削減の数値目標

指標 2030年度
CO₂排出量削減率
(Scope1+2)
35%以上削減
(2013年度対比)
実績はこちら
体制図はこちら

①ガバナンス 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ推進体制に組み込んでいます。

サステナビリティ推進における会議体・組織の役割
会議体・組織 役割
取締役会 業務執行において協議・決定されたサステナビリティ課題
(気候変動を中心とした環境課題や人的資本などに関する課題)に関する取り組み施策の進捗を監督
経営執行会議 全社グループにまたがるサステナビリティ課題に関する経営管理上の重要事項、業務執行に関する重要事項を協議・決定
サステナビリティ委員会
(原則四半期に一回開催)
サステナビリティに関する基本方針や対応方針の審議・決定
リスクマネジメント委員会
(原則四半期に一回開催)
サステナビリティに関するリスク事象の発生、採られた、または採られる予定の措置、リスク予防
主担当部門 サステナビリティ課題に合わせて主導的に当該課題への対応推進、リスクと機会を特定
(環境戦略推進室:気候変動を中心とした環境課題、人事総務部:グンゼグループの人的資本など)

②リスク管理 気候変動に関する主なリスクは、サステナビリティ推進体制を基本とし、重要な課題は「サステナビリティ委員会」「リスクマネジメント委員会」から経営執行会議に報告の上、取締役会に報告されることにより全社リスクを統合・管理しています。

③戦略 グンゼの主要事業として「プラスチックフィルム分野」と「アパレル(インナーウエア)分野」をシナリオ分析実施対象事業に選定し、短期~長期におけるリスクの特定とその対応策の検討および機会の抽出を実施しました。
今回は、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、1.5℃目標に対応した分析を実施しました。具体的には、IEA「World Energy Outlook」で示されているNZE2050※1などの「脱炭素シナリオ(1.5℃シナリオ)」と、IPCCAR5のRCP8.5シナリオ※2などを踏まえた「温暖化進行シナリオ(4℃シナリオ)」を始めとした政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートなどを参考に、2つのシナリオを設定し、脱炭素経済への「移行リスク」および温暖化進行に伴う「物理リスク」の分析を行っています。 グンゼグループは、今後も継続的にシナリオ分析の内容を見直し、戦略のレベルアップを図ります。

④指標と目標 2019年に制定したプラスチック資源循環基本方針に基づき、3R+Renewable※3を積極的に推進していますが、新たな資源循環技術の開発を進め、アパレルなど全事業セグメントへ展開し、推進を強化しています。
また、グンゼグループの重点取り組みとして、プラスチックフィルム分野での資源を循環させる「サーキュラーファクトリー化計画」を強力に推進しています。
さらにプラスチックカンパニーでは、ごみゼロプロジェクトが、基幹工場である守山工場において各形状の全品種リサイクル化の体制が完了し、2024年度廃プラ排出量を70%削減しました。
今後は廃プラ排出ゼロの早期達成を目指し、リサイクル社内循環スキームの確立を海外工場へ推進していきます。
そして、シナリオ分析により得られた、リスクと機会に対応した製品の開発も積極的に進めています。
昨年、上市したプラスチックフィルム分野の「GEOPLAS®」は、確実に商権を広げました。また、猛暑・暖冬にも対応したアパレル分野の「アセドロン」は、累計出荷枚数が200万枚(2025年7月現在)を突破し、年間を通じてお客さまに支持される商品に成長しました。
これらの取り組みにより、2024年度CDP※4質問書の気候変動分野において、「自社の環境リスクや影響について認識し、行動している」と評価されたことを示す「B」スコアに認定されました。
全世界で24,800社、日本企業は2,100社以上がCDPの質問書を通じて情報開示に応じており、その中で当社が認定された「B」スコアは8段階中、上から3番目となります。


※1 NZE2050:Net Zero by 2050 IEAによる「World Energy Outlook 2020」にて示されたシナリオの1つ。パリ協定の目標を上回る1.5℃シナリオにあたり、2050年までにCO₂排出量ゼロをめざすシナリオ。
※2 RCP8.5シナリオ:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書(AR5)統合報告書(SYR)の政策決定者向け要約 図SPM6の2100年に2.6℃~4.8℃の気温上昇が予想されているシナリオ。
※3 3R+Renewable:3RはReduce( リデュース=製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすること)、Reuse(リユース=使用済製品やその部品等を繰り返し使用すること)、Recycle(リサイクル=廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること)の頭文字Rを指し、これにRenewable(リニューアブル=再生利用)を加えたもの。
※4 CDP:気候変動など環境問題に関心を持つ世界の機関投資家などの要請を踏まえ、企業や自治体の環境情報開示のための世界的なシステムを運営する非営利組織。

気候変動によるリスク/機会への対応
リスク項目 リスク 時期 財務
インパクト
影響度
プラスチックフィルム分野 インナー
ウェア
分野
リスクへの対応と機会
移行リスク
(1.5℃)
炭素価格 各国で排出権取引や炭素税が導入され、操業コストが上昇 中期
~長期
リスク対応:
再エネ投資拡大や低炭素エネルギーへの移行により炭素税の財務影響を抑える
各国のプラスチック規制 規制強化によるバイオ素材やリサイクル素材の導入により原材料価格が上昇 中期
~長期
リスク対応:
廃プラの分解・再利用技術を確立し、顧客ニーズをとらえた製品提供を実施
エネルギーミックスの変化(電力価格) 電力会社の再生エネ比率が上昇し、電力価格が上昇 中期
~長期
リスク対応:
消費電力の少ない機器の利用、
自家消費型太陽光発電の設置を推進する
重要商品の価格増減 原油由来の合成繊維の製造コストが上昇 中期
~長期
リスク対応:
原油由来から自然由来素材への転換を推進
顧客行動の変化 環境負荷影響度に応じて購買決定する消費者の増加 中期
~長期
リスク対応:
エシカル消費に対応した環境配慮型商品の販売を拡大
物理リスク
(4℃)
異常気象 風水災による事業活動の停止及びサプライチェーンの途絶により売上減少 短期
~中期
リスク対応:
製造拠点・物流におけるサプライチェーンの防災強化により、事業継続能力を強化
気温上昇
(綿花栽培量)
気温上昇により綿花価格が上昇 中期
~長期
リスク対応:
バイオマテリアル、
リサイクル素材の開発
気温上昇 短期
~長期
機会:
気温上昇に対応した商品
(シュリンクフィルム、肌着)
  • 時期短期1~2年、中期3~5年、長期6~10年
  • 2050年の財務インパクト影響度小=1億円未満、中=1億~10億円未満、大=10億円以上

CO₂削減実績と今後の取り組み

① Scope1、2の実績について 2024年度の排出量の実績は、合計108,316t-CO₂(対前年比93.8%)となり、2013年度比で37.2%の削減を達成、目標の「2013年度比28%以上削減」を上回りました。
基本方針として、省エネの推進および再エネの導入拡大に取り組んでおり、2024年度は事業所の閉鎖などによる削減に加え、EMS(エネルギー管理システム)を活用した省エネ活動促進や、福島・宇都宮・江南における社内FIT太陽光発電設備の環境価値の買い戻し、新設事務所・工場(江南・綾部)への太陽光発電設備導入を進めました。
今後も海外事業所への太陽光発電設備の展開や、次世代型太陽光発電設備の導入など、再エネ比率の向上施策を推進していきます。

② Scope3の実績について 2024年度の排出量の実績は393,953t-CO₂となりました(前年比約0.8%増)。
Scope3はScope1、2以外のサプライチェーン全域のCO₂排出量のため、全事業の原材料調達・販売の増減の影響を受けます。
今回アパレル事業の原材料調達・販売は減少しましたが、機能ソリューション、メディカル事業は増加し、これを主な要因として、Scope3排出量が微増しています。
V30-2(2025~2027年度)においては、資源循環(3R+Renewable)の全社展開をさらに進め、削減効果の高いリデュース(使用資源の削減)、リサイクル(資源の高度循環)を重点的に推進することで、事業拡大に伴うScope3への影響を最小限に抑える事業基盤づくりを進めます。
さらに今後海外事業所におけるScope3の影響度も確認していきます。

CO₂削減実績(Scope1、2、3)
2024年度 対2023年度比 対2013年度比
排出量(t-CO₂) 削減量(t-CO₂) 削減率(%) 削減量(t-CO₂) 削減率(%)
実績 Scope1+2 108,316 7,201 6.2% 64,193 37.2%
Scope1 31,051 3,681 10.6% 21,262 40.6%
Scope2 77,265 3,520 4.4% 42,931 35.7%
Scope3 393,953 -3,097 -0.8%
  • Scope1、2は国内・海外のグンゼグループ全事業所を対象に算定(Scope2の算定はマーケット基準)
  • Scope3は国内のグンゼグループ全事業所を対象に算定

グンゼグループの環境技術、取り組みについて

気候変動への対応(省エネ、創エネ、再エネ活用) ・エネルギーの使用状況や効率を見える化するシステム構築による省エネの推進
・ボイラー、空調機などのユーティリティ設備の高効率化
・新規建築物の高断熱化、高気密化による省エネ化(ZEB認証、CASBEE認証を取得)
・再生可能エネルギーの活用(計画的な太陽光発電の設置、FITの活用)
・環境負荷の少ないエネルギーへの転換(重油→LPG・LNG・電化など)

江南工場(愛知県江南市)のZEBオフィス(エンプラ分野)

2023年2月、お客さまのここちよさや、従業員の働き甲斐・働きやすさにつなげたいという想いと考えが反映された、工場の顔となる新事務所が完成しました。
旧事務所は1959年竣工の、歴史を感じる建物でしたが、経年による不具合も出てくる中で、拡大する事業規模や取り扱い品種への対応として、スペースの確保・拡張が急務となっていました。そこで、生産エリアを拡張するために、工場棟にある会議室・事務所を集約し、事務所棟の建て替えを決定しました。建て替えに際しては、単に集約するだけではなく、デザインや快適性に加え、環境にも配慮する施設を目指しました。
建築デザインは、グンゼの歴史的建物の意匠を参考とした今昔融合の建物外観とし、調光・木目調などのアクセントも取り入れ、快適で過ごしやすい空間を演出しました。室内には、利便性・快適性に加えて、食堂のリニューアルにも注力。さまざまなスタイルの座席や、有名店とのコラボメニュー提供など、食事がリラックスできて楽しくなる工夫を行っています。また、ミーティング使用なども想定したレイアウトも、従業員のコミュニケーション向上に一役買っています。さらに環境配慮については、各種の省エネ施策を織込み、ZEB認証を取得することができました。
さまざまな特長、施策をちりばめた新オフィスによって、従業員のモチベーションアップを図り、お客さまにもグンゼの企業姿勢を理解いただくとともに、「環境に配慮した経営」を実践し、事業の持続的成長につなげていきます。

※ ZEB:Net Zero Energy Building
建物で消費するエネルギー収支をゼロにすることを目指した建物。江南工場の新事務所棟は削減率102%(省エネ53%、創エネ49%)を達成し、最高ランク「ZEB」認証を取得。
江南工場のZEBオフィス

江南工場のZEBオフィス

快適で過ごしやすい空間を演出

快適で過ごしやすい空間を演出

エンジニアリングプラスチックサイトへ

再生可能エネルギー活用によるCO₂排出量削減の取り組み グンゼは、事業活動における環境負荷の低減だけでなく、再生可能エネルギーの活用拡大によるCO₂排出量削減にも精⼒的に取り組んでいます。
現在活用している再生可能エネルギーは、太陽光発電によるものです。
事業拠点である福島県本宮市、愛知県江南市、栃木県下野市に設置した太陽光発電設備ではFIT※1を活用し、発電した分の「環境価値」=トラッキング付非化⽯証書※2を取得し、それを買い戻すことで自社の脱炭素に活用しています。
また2023年竣工の滋賀県守山市のサーキュラーファクトリーでは建屋の屋根全体に太陽光パネルを配置し、工場内の電⼒の一部として使用しています。
これらの設備等により、当社の現在の再生可能エネルギーの利用割合は、国内Scope1,2で⾒ると5%程度となっています。
さらに、このウエイトを向上させるため、現在建設中の愛知県江南市の新工場および京都府綾部市の新工場にも太陽光発電設備を導入予定です。
また、その他の設置困難な事業所においても今後の太陽光パネルの新技術導入(軽量化等)の検討を進めていきます。

※1 FIT:「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の略称です。
この制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風⼒、⽔⼒、地熱、バイオマスなど)を使って発電した電気を、国が定めた固定価格で電⼒会社が一定期間買い取る仕組み。

※2 トラッキング付非化⽯証書:従来の非化⽯証書に対し、発電所の所在地などの情報を紐付けたものを指します。
トラッキング付き非化⽯証書を購入すると、非化⽯証書に付与された情報を通じて、どのような過程で再エネ電⼒が作られているかを追跡することが可能。

グンゼ福島太陽光発電設備

グンゼ福島太陽光発電設備

CO₂削減と売上の両方に貢献できるカーボンネガティブ製品 緑化事業におけるCO₂吸収・固定量が、アパレル事業で商品展開するBODYWILDの「立体成型3D-MADEボクサー」と「カットオフ®ボクサー」の生産で発生するCO₂排出量よりも上回ることを、九州大学都市研究センターとの産学共同プロジェクトにより明らかにしました。これにより、第三者機関である一般社団法人計量サステナビリティ学機構による「CARE認証」 を取得し、環境貢献できるカーボンネガティブ製品として商品化しました。

※ CARE認証は、製品やサービスがつくられる過程で労働環境や自然環境に適切な配慮がされているかどうかを、目に見えるかたちにできる世界初の取り組み。
CARE認証には人権と環境の枠があり、グンゼはCARE認証(ENVIRONMENT:環境)を取得。


action-env-sdg-1
詳しくはこちら


ESGファイナンス 当社は「人間尊重と優良品の生産を基礎として、会社をめぐるすべての関係者との共存共栄をはかる」という創業の精神のもと、サステナビリティ意識をもって社会貢献することを重んじてまいりました。
新中期経営計画「VISION 2030 stage1」では、基本戦略の1つとして「環境に配慮した経営」を掲げており、事業活動を通じて環境負荷を低減していく全社的な取り組みをさらに強化してまいります。
取り組みの推進にあたっては、必要資金の調達についてESGファイナンス※1を積極的に活用し、レポーティングなどを通じて、当社の活動の透明性を高めてまいります。

※1 ESGファイナンス
資金使途が環境(E)・社会(S)、ガバナンス(G)課題の解決に寄与する投資に限定された資金調達手段。

グリーンファイナンス・フレームワーク 当社では2030年までに120億円の環境関連投資を予定しており、これらを資金使途としたグリーンファイナンスを実行するため、以下のとおり「グリーンファイナンス・フレームワーク(※2)」を策定いたしました。
グリーンボンド・ローン原則およびガイドラインの適合性の第三者評価については、株式会社日本格付研究所(以下、JCR)からの評価を受け、「JCRグリーンファイナンス・フレームワーク評価」の最上位である「Green1(F)」を取得しております。
また、本フレームワークにおける「サーキュラーファクトリープロジェクト※3」は、評価取得時点において、本邦初の資源循環型工場の取り組み全体での評価取得となっております。
なお、フレームワークの策定および第三者評価取得の助言などを通じて、グリーンファイナンスの支援を行うストラクチャリング・エージェントとして、野村證券株式会社を選定しております。

※2 グリーンファイナンス・フレームワーク
グリーンボンド・ローン原則/ガイドラインに基づき、グリーンファイナンスによって調達する資金の
①資金使途
②プロジェクトの評価及び選定のプロセス
③調達資金の管理
④レポーティングについて当社の方針をまとめたもの

※3 サーキュラーファクトリープロジェクト
プラスチックフィルム事業における、リサイクルに適した製品開発と再原料化技術の確立および廃プラスチックの再利用による廃棄物を出さずに資源循環を実現する工場プロジェクト。

グリーンジェネラルシンジケートローン サーキュラーファクトリー建設などの必要資金調達のため、このたび、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとして、グリーンファイナンス・フレームワークに準拠したグリーンジェネラルシンジケートローン※4の契約を締結いたしました。

※4 グリーンジェネラルシンジケートローン
新規取引金融機関も含め、幅広い金融機関からなるシンジケート団が同一の契約書に基づいて行う融資。調達資金の使途は、環境課題の解決に寄与する投資に限定される。

グリーンジェネラルシンジケートローン概要

契約締結日 2022年9月30日
アレンジャー/エージェント 株式会社三菱UFJ銀行
貸出人(五十音順) 大分銀行
滋賀銀行
全国信用協同組合連合会
筑波銀行
南都銀行
組成金額 45億円
借入期間 2022年10月5日〜2026年10月5日(4年間)
資金使途 サーキュラーファクトリープロジェクト(守山工場):
CASBEE※5Aを取得した建屋建設
エネルギー効率が改善される新設ライン設置

グリーンビルディング:
BELS※65つ星およびZEB※7認証を取得した江南工場事務所建設

※5 CASBEE(建築環境総合性能評価システム)
省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮や室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価し、格付けする手法。5段階でランク分けされる。一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターが第三者機関による認証制度「CASBEE評価認証制度」を実施している。

※6 BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)
国土交通省が定めた「建築物の省エネ性能表示ガイドライン(建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針)」に基づく第三者認証制度の一つ。制度運営主体は一般社団法人住宅性能評価・表示協会。省エネルギー性能を客観的に評価し、5段階の星マークで表示。

※7 ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)
快適な室内環境を実現しながら、再生可能エネルギーによる創エネルギーと、断熱性を高めた構造やセンサーなどを駆使した省エネルギーにより、建物で消費する一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物。