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社外取締役インタビュー

グンゼのコーポレートガバナンスについて
思うこと

社外取締役 中井 洋恵社外取締役 中井 洋恵 社外取締役 中井 洋恵

社外取締役 鯨岡 修社外取締役 鯨岡 修社外取締役 鯨岡 修

コーポレートガバナンスの役割はどのようなものと考えていますか?

中井: 企業というのは、大きくなると監視・監督がなかなか行き届かなくなるものですから、隅々まで企業の理念を行き渡らせ、どのように監督していくか、という仕組みがコーポレートガバナンスであると考えています。

鯨岡: 企業統治とは、企業で働いている社員の方々が気持ちよく幸せに仕事を進めていく上での約束事やポリシーであると考えています。一方、現実は決め事だけではうまく回らないことも多いので、企業文化や伝統など企業のバックボーンのようなものが大事になってくるのではないでしょうか。

グンゼのガバナンス体制について、他社と異なる点や独自性はありますか?

中井: グンゼは非常にまじめな会社で、やるべきことをきっちりと行い、例えばコーポレート・ガバナンスコードができれば誠実に遵守する会社です。他社との違いは約束事を守るために努力する点だと思います。濃淡はあるでしょうが、全体的には非常に律義に取り組んでいると思います。

鯨岡: 中井さんの話と重複しますが、以前所属していたメディア関連の会社と比較しますと、約束事をしっかり守られている会社だと感じています。先日、福島プラスチックス(福島県本宮市)を視察した際に、ポストイットを上手に使って壁に様々なデータを貼り出されるなど、約束事の徹底や、作業工程のルール付けなどにしっかりと取り組まれていることに感心しました。ただ製造現場ではこのような取り組みをされているところが多いという話も聞きました。私が関わっていたメディア関連の会社に比べると、約束事を徹底して守るという製造業のまじめさを実際に目の当たりにし、驚きを感じました。そして、挨拶をする、履きものをそろえる、掃除をするといった三つの躾や、創業の精神にこそグンゼらしさがあり、これからも大切にすべき所だと感じています。

社内取締役とは異なる、社外取締役としての視点をどのあたりに置かれていますか?

中井: 特に重視している点は、今の社会の動きを受けて、外の世界との橋渡しなどをすることにより、「社内の常識が非常識」に陥らないようにすることです。また、直近の数字をどこまで上げるのか、また今月はどこまで何をやるのか、など「今」ばかり見て近視眼的になりがちな取り組みから、「将来」を見据えた時に何をすべきか、という観点で日頃の業務が遂行できているかに注目しています。つまり社外の視点で新しい風を送ること、そして「将来」という長いスパンでお話しをするという2点を心掛けています。

鯨岡: 私はまだグンゼ経験が1年しかないので、いつも新鮮な体験をさせてもらっていますが、逆にグンゼを知らないことがある種の強みだと思っています。これまでの自分の経験で当たり前になっていることが、グンゼにとっては目新しいことであったりするので、このような情報を提供していきたいと考えています。特にメディア関連の会社では「つなぐ」役割を果たしてきたので、グンゼでも同様に取り組んでいきたいと思います。逆にグンゼでは当たり前のことが私にとっては驚きであり、それは今だからこそ価値があるのではないかと感じています。例えばグンゼで毎朝歌っている「朝の歌」は曜日によって違います。また、社歌についても高尚な内容ですので、昨年、新聞社主催で「わが社の社歌を自慢する」という社歌コンクールがありましたが、参加していたら最優秀賞を狙えたのではないかと思っています (笑) 。また取締役会でも会議を始める前にはまず「社是唱和」から物事が始まることに、大変驚きを感じました。例えばスタートアップ企業のような新しい企業には、まず思いつかないでしょうし、思いついてもできないでしょう。このような企業文化はガバナンスを考えた上でもとても大事だと思いますが、従業員の皆さんの中では当たり前になってしまい、その魅力に気付いていない人も多いのではないかと感じています。

社外取締役の監視・監督機能はどの程度効果があると思いますか?

中井: 役に立っているかどうかといえば答えにくいのですが、自分としては役に立っていると思います(笑)。常に第三者の監視の目が届いているという状況下で経営判断することは、様々な視点から意見が入り、良いことだと思います。一方、平常時に多くの社外取締役が必要かといえば、それほど必要ないのではないかと思います。テレビドラマでの役員会では、画面の端から端までかなりの人数がいるような設定を見ますが、「そのような大人数で適正な議論ができて、本当に機能しているの?」と思ってしまいます。適正な人数で適正な議論がなされていることが健全な役員会の姿であると考えますし、その中で社外取締役の人数は半分以下で良いのではと思います。ただ会社が暴走することになれば、過半数は必要になりますが。

鯨岡: メディア関連のグループ会社で、社外取締役をいくつか経験しましたが、すべて内部人員のみで構成されており、監視機能やチェック機能を果たす役割があったとは言い切れませんでした。チェック機能を果たす意味で社外取締役は必要で、企業の透明性を担保するためにもその役割は果たさないといけないと思っています。ただ、企業によっては社外取締役が議長の役割を担うというところも最近は増えていると聞きます。しかし、私の場合は実際の現場で初歩的な驚きを感じるくらいですから、社内で業務を執行している人たちと、社外の情報との交換がうまくいくような組織であればいいと考えており、それほど社外取締役が多数を占める必要はないと感じています。

2020年度から内部通報窓口を外部にも設置することについてご意見をお聞かせください。

中井: 他社で内部通報窓口をやらせていただいています。ちょっとした通報は社内の労務担当者が適任だと思いますが、シリアスな内容の場合は、通報を受けたとしても処理がうやむやになったり、不利益を受けたりすることが発生しないよう、通報者をきちんと守れる外部に信頼できる窓口を設置することは意味のあることだと思います。外部窓口(弁護士)とは信頼関係に基づいてコミュニケーションを取りながら適正に運用し、実効性のあるものにしなければなりません。

鯨岡: 設置すること自体が企業の信頼性につながると思います。それが頻繁に活用されるかどうかを問う人もおられるとは思いますが、基本的にはこのような仕組みを持とうとする企業姿勢が問われる時代であるので、前向きに評価していいと思います。

最後に、社外の視点から2019年度のグンゼのニュースを教えてください。

中井: 消費者目線でのニュースですが、eコマースが非常に良くなったと思います。公式アプリの使いやすさの向上、配送までの期間など、まだまだ発展の余地はあると思いますが、2019年度に飛躍的に使いやすくなったと思います。また、メディカル分野から発売されたコンドロベールなども非常に期待できるものではないかと思っています。

鯨岡: 前職が医療系ということもあったのですが、グンゼが医療分野でここまでのポテンシャルがあるとは思いもしませんでした。(株)メディカルユーアンドエイのM&Aもニュースですが、綾部にある研究開発部やQOL研究所に伺い、研究分野について一つ一つお話を伺う機会も得て、高い将来性を感じました。個人的には、製造業ならではの取り組みとして、ニッチな分野から商品開発を進め、生産能力や、資材調達など様々なリスクに対応しており、今までこのような発想のない私にとってはとても新鮮なニュースでした。